今日の一曲 No.94:モーツァルト作曲「クラリネット五重奏曲 KV581」(レオポルド・ウラッハ & ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団)

「今日の一曲」シリーズの第94回です。

クラリネットを主役にした楽曲を、これまでも3回(第19回、第45回、第72回)ほど取り上げてきて、クラリネットという楽器の他の管楽器とは異なる特性にまで触れて珍しく蘊蓄らしきことまで語っておきながら、この曲をご紹介していなかったとはっ!・・・うっかりしておりましたぁ~(汗)。

今回ご紹介する盤とその一曲は、第72回(2018/02/20)でご紹介した盤と一緒に、それは・・・ふところ具合を気にしながら少々無理をして購入したアナログLPレコード盤です。では、再びそのあたりのことも含めて諸々語らせていただこうかと思います。

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これまで、クラリネットを主役にした楽曲とこれらを収録した盤をご紹介しながら・・・、

1970年代から80年代を代表するクラリネット奏者カール・ライスターの演奏について、

クラリネットにはフランス式とドイツ式があること、

クラリネットは管楽器で唯一の閉管の特性をもっていること、

B♭とAを基準にしたクラリネットがあること、

小クラリネットやアルト・クラリネット、コントラバス・クラリネットなど7種類ほどあること、

そして、どこかの回では、「私はクラリネットのような人になりたい」など、分けのわからないことも語って・・・そのクラリネット愛も語らせていただいたわけだけれど・・・(汗・笑)、

今回はまずは、第72回(2018/02/20記載)で書かせていただいたことを中心に少しだけ振り返った後、本題へと入っていこうかと・・・。

 

再度病状を悪化させてしまった2007年からの約1年半もの間は完全に社会からリタイヤしてしまい・・・、まぁ~、この間のことは他の回でも書かせていただいているので今回は省くことにして・・・、

さて、そこから社会復帰を果たして身体的にも精神的にも、

「これでやっていけそうだな!」

と、そこそこ自信も取り戻しつつあった2009年の・・・ある日、その日は正午前頃から一日掛けて中古レコード店巡り。

「気持ちいいなぁ~」

と、声に出したかまでは定かではないけれど、新緑も映える季節の、よく晴れた日だったことだけは確りと記憶している。

我が住む街から電車で約1時間、まずは三鷹、吉祥寺へ。夕方の時間帯になって、そこから更に電車で20分程移動して下北沢へと・・・、順々に散策を兼ねて各店を巡った。

 

そんなことをしていて、下北沢の、とある中古レコード店で出会ったのが、今回、「今日の一曲」シリーズの94枚目にご紹介する盤だ。・・・第72回(2018/02/20記載)でご紹介したブラームス作曲の「クラリネット五重奏曲」と一緒に、我がふところ具合を心配しながらも少々無理をして購入した盤だ(汗)。

 

(そろそろ本題へ・・・)

購入したこの2枚の盤は、ともに、クラリネット奏者「レオポルド・ウラッハ(ヴラッハ)」と「ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団」による演奏を収録した盤で、きっとこの組み合わせをシリーズとして出版した盤なのだろう、と、そう思って、社会復帰したばかりの経済事情もあったわけだけれど、少々無理をして2枚まとめて同時に購入したのだった。

・・・とは言うものの、確か?店内のラックの別々のところにあった2枚をたまたま探り当てたように記憶している。

だいぶ時が経過してから気付いたのだけれど、ジャケットには通し番号と思われる数字が記載されていて、どうやらこのシリーズの盤は少なくともあと1種類は他にあるようなのだ。その日、更に店内のラックを丁寧に探ったなら、もう1枚見つけられたかも知れない。まぁ~でも、他の人がその1枚を買ったあとだったかも知れないし、そもそも入荷されていなかったかも知れないし、そこは中古レコード店だからね・・・。もっと言えば、3枚をまとめて買うだけの余裕が私のふところにあったのかと問うならば・・・だよねぇ~・・・(汗・笑)。

 

で、第72回でご紹介したのはブラームスの作品だったけれども、今回ご紹介するもう1枚の盤は、モーツァルト作曲の「クラリネット五重奏曲 KV581」で、1951年に録音がされて、1976年に再版されたLPレコード盤だ。

(*第72回でブラームスの方の盤を1951年の録音と記載してしまったのですが、こちらは1952年の録音でした。)

 

これも、「今日の一曲」のなかで、何回か書いてきたことではあるのだけれど、・・・クラシック音楽と呼ばれる類の音楽は叔父の影響が多分にあって幼少の2~3歳頃から聴いていたらしいのだけれど(自身の記憶では4歳くらいからになる)、モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェン・・・といった古典派とされる作曲者の楽曲については、一般にクラシック音楽のなかでも、それは小・中学校の音楽の授業なども含めて比較的多く耳にする機会があるはずの割には、自ら好んで聴いていた作品はあまりに少なく、いま現在に至ってもそれは幾分か増えた程度であって、知り得る古典派作品は限定的であると言わざるを得ない。

 

が、モーツァルトのこの作品は、私にとって、かけがえのない一曲と言える。

(このことは、第19回(2017/02/04記載)にも書いた)・・・高校1年生のとき、東京の田舎方面に住む者からしても電車で数十分で行けるほどの近さにある市民ホールで、日本のクラリネット奏者の第一人者のひとりである村井祐児さんのリサイタルがあって、それも運良くチケットが手に入って、そのリサイタルのプログラムのメインがモーツァルトのクラリネット五重奏曲であったからこそで、この機会と生演奏を聴いたときの感激を知らなかったなら、大げさかも知れないけれど、クラリネットという楽器のことをこれほどまでに好きになって、これまでに語ってきたようなクラリネットという楽器のその特徴など蘊蓄めいた事まで知ろうなどとは考えもしなかっただろう。同時に、モーツァルトの作品についても、そうは言っても、ざっくりと10作品くらいは直ぐに頭に浮かぶくらいではあるので、この程度でも聴くようになったということは、このときのリサイタルの印象がそれだけ大きかったということだろうと思う。

ちなみに、モーツァルトのクラリネット五重奏曲が収録された盤だけで、LPレコード盤とCDを合せて4枚持っているのだから、その好きさ加減はお察しいただけるかと・・・。

 

で、ウラッハのクラリネットとウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の演奏によるこれも、第72回で紹介したブラームスの作品の演奏から感じることと若干重なってしまう部分はあるのだけれど・・・、

ウラッハを含めて弦楽四重奏団のメンバーもまた活動の中心が、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の団員としての演奏が土台にあるからなのだろう、伝統的にも感じられる(私なんぞが簡単に「伝統的」などと言えるような伝統ではないことは承知してもいるけれど、あえて使わせていただきます)・・・その素朴な音色とアンサンブルの響きが、勿論テクニックの高さも確かであることは当然とは言え、テクニック的な方が際立ってしまったり、上手さばかりが勝って聴こえてくるのでは決してなくて、あくまでも、温かく、優しく、何よりも「ほっとさせられる音たち」に聴こえてくることだ。

 

あとは、ここに加えて語るなら、演奏のテンポ(速さ・遅さ)だ。

同曲の他の3枚の盤に収録された演奏者たち(カール・ライスターなども含めて)の演奏と比べても、そのどれよりも4つの楽章全てでテンポがやや遅めである。

特に、第2楽章は、もともと、ゆっくりとしたSlowなテンポが指定されている楽章であるのだけれど、

「わぁ~、ゆっくりだなぁ~」

 と、それが分かっていても、そう思ってしまうほどの遅いテンポ、あるいは言い方を変えても、たっぷり過ぎるほどのテンポで演奏されていて、

「これ以上に遅くしたのならアンサンブルが崩壊してしまうようなギリッギリッのテンポですよね・・・?」

と、目の前に演奏メンバーが居たならその場で質問と確認をしてしまいそうな感じだ(笑)。

 

が、このゆったり感のある演奏を可能にしているものは、やはり、伝統的とも言うべきその素朴な音色とアンサンブルの響きがあってこそなのだと想えてくる。

なんとも心地いい~、もっとも和らぐ、第2楽章なのだ。

 

モーツァルト作曲「クラリネット五重奏曲 KV581」も、レオポルド・ウラッハとウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の演奏を収録したこの盤では、やはり、盤に針を乗せるその前に、ちょっとした準備をしたくなってしまうのだよねぇ~(笑)。

カリカリカリ・・・と音をさせながら自分の手で挽いた豆を、自分でじっくりとドリップして、自分のための珈琲を淹れる・・・、

これがホントの「ウィンナー珈琲」・・・ってね、御あとがヨロシイようで・・・(汗・笑)。

 

「今日の一曲」の第94回は、クラリネットという楽器の愛おしさを教えてくれて、モーツァルト作品にも耳を傾けるようにもさせてくれた、大切な大切な出会いをつくってくれた一曲で、なかでも、その一曲を収録した一枚のLPレコード盤は、それは大人になってからも、体調が回復して社会復帰を果たしたそこにも居合わせて「ほっとさせてくれた」音たちで、更に現在は、ちょっとした贅沢な珈琲タイムも演出してくれている・・・そんな、レオポルド・ウラッハとウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の演奏によるモーツァルト作曲「クラリネット五重奏曲 KV581」をご紹介させていただいた。