今日の一曲 No.81:アイリーン・キャラ(Irene Cara)「ホワット・ア・フィーリング(WHAT A FEELING)」

「今日の一曲」の第81回です。

81枚目にご紹介する盤とその一曲は、映画のサントラ・LPレコード盤からです。第12回(2016/12/17:坂本龍一「Self Portrait」)の中で初めて書いて、それ以降も時折ふれさせていただいてはおりますが・・・私めの社会人一年目は現在から振り返ってもあまりに理不尽としか言えない最悪な環境に巻き込まれることに。4月、新社会人のみなさんが「どうか良いスタートを切れますように」と願いながら、今回は書かせていただこうと思います。

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その曲は、割と静かめに、この先に起こる何かを予感させるかのように始まる・・・

First when there's nothing

But a slow glowing dream

・・・

友人たちの多大なる支えがあってのことだった。

恐らく崖淵にしがみつくような状態であったとは思うけれど、大学に合格した。

「お前!すごいなぁ〜、キセキ、キセキ」・・・

などと、高校生活を共にした友人・仲間から揶揄われながらも祝福もしてもらった。

だから、相変わらずお勉強は得意ではなかったのだけれど、大学でも、よき友人や先輩たちにも恵まれ、よく遊び、よく学び、卒業研究も先端の研究の一部をやらせてもらったりして、自分なりではあるけれど、大学生活を無駄にしまいという思いが常にあった。実際に充実した大学生活を送ることができたように思う。

 

が、将来に渡って何をして生きていったら良いのかが、さっぱり掴めないままだった・・・。

 

大学3年頃からはインターシップ的に企業実習やアルバイトとして考えられる職種に当たるだけ当った。

当時はコンピュータ・ソフトウェア開発関連への就職は圧倒的に有利だった。実習やアルバイトをした企業から幾つか内々定の話もいただいた。在学していた大学の学科が時代のニーズに即していたこともあってだ。

そんな選り好みができる状況にありながら個人的にはどれもピンとこない。積極的な選択ができないまま、消去法的な手段で選ぶようになった。これでも、当時の時点ではBest、少なくともBetterな選択をしたつもりでいた。

 

こうして、それなりに意気揚々と新社会人としての生活をスタートさせた。

 

が、一週間、二週間ほど経過して・・・

「ん?」

「ん?・・・この人はいま何を意図してこれを言ってきた?」

「あれ?・・・さっきの先輩たちとはまったく違うことを・・」

 

この職場では、リーダーに着くものは名ばかりのお飾りで、その直ぐ下に位置する人たちに依って派閥争いが繰り広げられていた。

ここが何を目的に社会貢献を果たすべきところかは明らかであるはずで、身勝手な大人たちの都合だけで生じている派閥争いであることを、この時点で既に感じとった。

さらに、数週間から1ヶ月、2ヵ月と経過するうちに、働き心地どころではなく、単なる居心地にさえ変な具合を感じるようになった。

これはもう、職務上の方針や方法論の闘いでもなくなっていて、ただの大人の好みの問題だけで起きている・・・意味の無い二項対立的な争いなのだと確信した。

 

<これが大人?、これが社会人?>

怒りのようなものが湧いてくるのを寸前の胸裏で抑え込みながらの日々になった。

徐々に自分自身で進めなければならない仕事のペースまで調子が狂い始めて・・・

「わぁ〜、これではダメ、ダメ!」

・・・

All alone I have cried

Silent teats full of pride

In a world made of steel

Made of stone

・・・

同じ頃(この年の夏だったと記憶する)、エイドリアン・ライン監督の映画「フラッシュダンス」が日本でも公開がされて話題を呼んでいた。プロのダンサーを目指す若き女性アレックスを主人公(ジェニファー・ビールズが演じる)に、夢を抱いては挫折を味わいながら生きる若者たちを描いた作品だ。

ある休日・・・

当時はあまり内容が分かっていないままで、新宿・歌舞伎町の映画館に入った。(映画は独りで観に行くものだ(汗・笑))

映画の終盤、ダンス・オーディション中のシーンでの想わぬ逆転劇に、

<俺って単純すぎ?・・・>

と胸裏で呟きながらも、そう、まったく単純に感激しながら映画館を出たのだった。

でも、そのときの爽快感は忘れられないほどで・・・(笑)。

 

が、現実の日々は甘くなかった。

両派閥から持ち掛けられる話に対して両者の思惑通りには行動しないのだから、どちらもが私のことを面白くは思わない。やがて、話はどちらからも来なくなった。代わりに「不必要なヤツ」というレッテルが貼られて、本人に気付かれないようにも薄々感じさせるように出回る。

世の中とは、「出る杭は打たれる」ではなく、「出る杭はぬかれる」だ・・・と。「パワハラ」、「職場のイジメ」なんて言葉など無く、通用するような時代でもなかった。

それでも、くだらない大人たちの二項対立のお相手は、もう御免だった。

「自分のできることを誠意もってやるだけ」

「くだらない大人の評価は好きにさせておく」

そう覚悟を決めた。

・・・

(軽快なリズムも鳴りはじめて)

Well I hear the music

Close my eyes feel the rhythm

 ・・・

さて、映画を観たその数か月後だったか、映画を観た日の爽快な気分を少しでも再現したくて、映画のサントラ盤であるそのLPレコード盤を買った(上の写真)。例の物静かそうなオジさんが独りで営むレコード店で、ゆっくりと、静かに呼吸を整えるかのように、ラックに並べられた何枚もの盤を眺めながら、でも、それを手に取った。

くだらない大人たちの雑音から心身を守ってくれる音、独りでも立ち続けられるエネルギーを補給してくれる音、そんな音、音楽を求めていたのだろう。そりゃぁ、当時は泣いた夜だってあった・・・。

・・・

(歌声もリズムも力強くなって)

What a feeling

Please believe it

I can have it all now I'm dancin' for my life

・・・

映画「フラッシュダンス」の終盤に起こる逆転劇のシーンで主人公アレックスが踊るダンスと一緒に流れる曲が、アイリーン・キャラ(Irene Cara)が歌う「ホワット・ア・フィーリング(WHAT A FEELING)」だ。A面の1曲目に収録されている。

まさに、当時の私にとってそれは、独りでも立ち続けられるエネルギーを補給するための音であり、自身への応援ソングだったのだと思う。

・・・

(愛らしくもさらに激しく力強い歌声に)

What a feeling (I can really have it all)

What a feeling (You just gotta laugh when I cry)

・・・ 

確かに、社会人一年目の若ゾウが、その覚悟も足りず、知識も、視野の広さも思慮深さにも欠けていたのだとも・・・思う。融通の利かない正義感だけたっぷりの青二才だったのかも知れない。

が、30年以上に渡って関連した幾つかの職場・現場を通して、数々の人と出会い、それなりにも経験を積んで技術も磨いてきて・・・現在から振り返ってみても、この一年目の職場で繰り広げられていたことは「大人のすべきことではない」と言い切れる。

 

ただ、自分自身で、周囲の人たちの考えだったり取り巻く環境を変えるだけの力量を、思案を、持ち合わせていなかったことも事実だ。

・・・自身もまた、「本物の大人」からは掛け離れていたということだ。

 

二年目は干されて・・・というよりも、自ら逃げた。

3つのアルバイトを掛け持って生活を繋ぐことにはなるけれど、悔しい思いは、次なることに備えて「もっと力を」と、広く様々な勉強を重ねて、「人間力」として兼ね備えたスキルアップもしておこう・・・という行動を導いてもくれた。

 

三年目・・・そして、大きなターニングポイントが待ち受けていた。

私的には、「救世主」とも言えるほどの人物と出会う。その業界人として今現在も尊敬し続ける人だ。

この人がその一年目に居た職場の新リーダーとして外部から着任して、派閥争いをしていたタネたちを一掃。私は一年目に居た職場に復帰することになる。そして、信頼をおく新リーダーから、「社会人の何たるか」、「仕事の何たるか」を一から鍛えてもらうことになるのだった。

まさに逆転劇が起こった!

いや、逆転劇はここから始まるのだった!

Make it happen (Make it happen)

What a feeling (What a feeling)

Please believe it