ライヴ報告:「教育を語りあおうよ音楽Cafe-Barで(Vol.2:三鷹編)」

5月31日(金)の夜、東京・三鷹のライヴスペース「おんがくのじかん」を会場に、「教育を語りあおうよ音楽Cafe-Barで(Vol.2:三鷹編)」という企画を開かせていただきました。

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*尚、この企画に関する「問題提起」、「解決の糸口」、「企画の目的」、「主たる内容」等についての詳しいことは、同ホームページの「子どもたちを育む『自立と自律』」でお読みいただきたく存じます(リンクしています)。

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では、そのご報告を・・・。

 

今回は「教育を語りあおうよ音楽Cafe-Barで」の2回目、「Vol.2」として開催した。

 

この企画で常に提示している(今後も提示していく)大テーマが、「自立と自律」だ。

「人一人ひとりがいかなる境遇にあろうとも、人生をどのように歩んでいくかは自由であろうとも、決して逸れてはならない『道標』・『軸』となる目標」

として考えて提示している。

*自立とは?

・・・「各人がその能力を活かして、また他者の能力と活かし合って、社会と調和して生活し続けること(目指すべき行動面での目標)」

*自律とは?

・・・「自立に必要な知識や教養および思考力と実践的スキルを身に付けていくと同時に、これらを自分自身で総合的にコントロールする能力を身に付けていること(自立に必要な能力面での目標)」

また、ここに少しでも近づくための方法、その原則として、

「(自律のための)日々の育成・養成面での目標」

「(自律のための)土台となる心理面での目標」

の2つの目標も提示している。

 

今回の「Vol.2」では、この日のために用意した資料(A4版用紙24ページ)とともに、「自立と自律」を大テーマに、

「1.子どもたちの能力の特性面から」、

「2.学校教育(公教育)の面から」、

「3.家庭での子育ての面から」、

「4.地域社会の面から」

の4つの面からアプローチをしていくことを提案させていただいた。

会場にいらした皆さんが、これらをご自身の身に置き換えて考えやすいように、また皆さんで解決策を探っていきやすいように、進行上の構成にも工夫を試みた。

 

前半の約90分間は・・・

私からその4つの面それぞれの基本となる部分(私が教育現場で体験してきたこと、様々な分野について学び・探求していること)をお話し(トーク)させていただき、その上で、会場に居合わせた皆さんには3~4人くらいずつのグループに分かれてもらって、問題点を話し合っていただいたり、疑問点を出し合っていただいたり、会場の皆で意見や考えを確認し合う時間を作って進めた。

その途中、10分~15分おきに・・・

歌とギターでの音楽ライヴ(5曲)も味わっていただいた。それとなく話題に関係した歌詞とも受け取れるオリジナル曲を歌い演奏させていただいた。

(この時の演奏の一部が、同ホームページの「YOUTUBE動画(ライヴ風景)」で視聴できます。)

後半の約40分間は・・・

前半に出し合った疑問点などについて自由に意見を述べ合っていただいて、今回の全体の内容を皆で確認し合う「振り返り」の時間にした。

 

つまり、今回「Vol.2」の進行そのものを、「アクティブラーニング:主体的・対話的で深い学び」(「プロジェクト型の学び」)・・・というまでには至らないのだけれど、これに近い構成にさせていただいた、というわけなのだ。

「アクティブラーニング:主体的・対話的で深い学び」というのは、現在からこれから先の社会にも対応し得る人材を育成していくことも見据えたうえで、来年度から小学校をはじめ、中学校、高校と順次完全実施となる授業形態であるのだけれど、現在、教育現場では、その本来の意味を正確に認識した実践的なスキルを十分に備えた教師、またこれに備えて真に取り組んでいる学校があまりに少ないなど、課題が多い。

そこで、一般の大人たちにとってあまり馴染みのない「アクティブラーニング:主体的・対話的で深い学び」という授業形態を体験していただく必要があると考えて、その要素を構成に取り入れて進行させていただいた。

 

前回のVol.1のときは会場にいらした方の多くが学校関係者だったのだけれど、今回のVol.2(三鷹編)では、中学生や高校生の子どもさんをもつ親御さん・保護者の方がそのほとんどだった。

 

ここで、この日は驚かされたことがあった!

それは・・・、

30年くらい前、ある高校での・・・かつての教え子たち(当時の学年は少しずつ違うのだけれど)が今や子をもつ母親・父親となって、この企画を知って来てくれたことだった。

卒業式以来という者もいて、何だかサプライズ企画を仕掛けられたような一夜にもなった(上記の写真は、かつての教え子たちとの記念撮影)。

 

そんなちょっと特別な雰囲気・・・何故だか私が照れてしまうような雰囲気(汗)もありながら・・・、

会場に居合わせた皆さんが、私の話(トーク)に耳を傾け、また相互に会話を交わし合い、ホント忌憚なく活発に意見を出し合ってくださった。

4つの面それぞれにある問題点や課題を認識し合い、真剣に、熱心に考え合う会場内の様子はとても印象的だった。

かと言って、堅苦しいような雰囲気になることもなく・・・、

特にオバちゃんたち、・・・おっとイケない、お母さまたちは賑やかだねぇ~、時折「アハハハハ・・・」といった笑い声も湧き起こることもあるほどで・・・。

が、さすがだ!

母親ならではの感じ方、父親ならではの意見、また保護者として学校の先生との関係などの話題もあって、保護者ならではの思いや考えが伝わってくる場面が多かった。

他にも、務める会社での若手社員育成の問題も話題として上がるなどもあった。

「イヤイヤ時間が足りないなぁ~」

というほど、中身の濃い時間と場を会場の皆さんと共に共有することができたように思う。

 

まさに、この企画の目的通り・・・、

変化著しい予測不可能な出来事がますます増えつつある社会・世界にあって、

「子どもたちに成される教育ってどうあるのがいいの?」

「『自立』した生活、『幸せ感』のある人生を送るためにはどうあるべきなの?」

「より良い社会へと変容(変化)させていけるような人材が育成される仕組みってどうしたらいいのだろうか?」

これらに真剣に考え合う大人の・・・特に今回は保護者の立場としての色が濃いこともあったけれど、その強い責任感を感じた。

この「教育を語りあおうよ音楽Cafe-Barで」を通じて、特に今回の「Vol.2」ような構成にしてみて、・・・その問題点の根本を明確にして、解決のための『軸』や『目標』を提示をしていくことで、また互いに会話を交わし合う相手が居ることによって、これほどまでに大人たちは真剣で熱心に考えて知恵をめぐらせるのだと、ある意味予想以上の驚きと同時に心強さを実感した。

これは、この日、この場で起こった僅かながらの出来事に過ぎないにしても、日本の子どもたちにも、日本の社会の未来にも一筋の光明を見た気がした。 

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ご来場、ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

真剣みあふれる取り組みと、好き(よき)姿を見させていただきました。感謝、感謝です。

かつての教え子としてのサプライズもまた、感謝です(笑)。

また、会場となった「おんがくのじかん」の菊池さんには、初めからこの企画に理解を示していただき(正直、他が場を提供することを渋るなかで)、会場として利用することを今回もまた快く引き受けていただきましたこと、また音楽演奏の音もこちらが意図するところを丁寧に会場に届けていただきましたこと、併せて感謝申し上げます。

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***以下、この日に扱った内容(配布資料)について項目だけを記載***

 

0.基本ルール

・この企画で居合わせた人どうしのルールとマナー

 

《イントロダクション》

1.「自由の相互承認」

2.「自立と自律」

1)日々の育成・養成面での目標

2)土台となる心理面での目標

 

《子どもたちの能力での特性面から》

3.子どもたちの情報処理能力3つの特性

1)聴覚言語型

2)視覚言語型

3)視覚空間型

4.統合能力

 

《学校教育(公教育)の面から》

5.公教育

6.学級経営

・学級担任の先生と子どもたちとの関わり

7.各教科・科目の授業の方法 

1)講義形式

・ブロードキャスト・アプローチ

2)プロジェクト型の学び

・「アクティブラーニング:主体的・対話的で深い学び」を含めて

3)質問作りの授業

8.近い未来にあり得ること(一部ですでに始まっていること)

1)パーソナライゼーション

・「AI」人工知能を用いた機械学習と学びの個別化

2)入学試験・就職採用選考に関わる変化

・筆記試験は・・・ 

・面接試験は・・・ 

・ポートフォリオ

 

《家庭での子育ての面から》

9.「ベビーサークル」と「遊び場」

・環境と機会

10.「パターナー」と「ドラマティスト」

・行動のタイプ

11.ゲーミフィケーションの恐さと危うさ

1)ゲーミフィケーション

2)コンピューター・ゲームとゲーム感覚の学習教材ソフト

3)AIを用いた機械学習の導入

12.料理を作ろう

・低い床と高い天井、広い壁の意味

 

《地域社会の面から》

13.ルールとマナー

・第一の目的と第二の目的

14.地域社会の崩壊が始まるとき

15.子どもたちも関わる地域社会

・後ろを振り返り、現在を見つめ、未来へと一歩ずつ

・計画の原則 

・「プロジェクト型の学び」を実践

16.子どもとの距離

・家庭、学校、地域社会

・いろいろな物差しを用意してあげることの必要性

 

以上。