今日の一曲 No.72:ブラームス作曲「クラリネット五重奏 作品115」(レオポルド・ウラッハ&ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団)

「今日の一曲」シリーズの第72回。

72枚目にご紹介する盤も前回に続いてブラームスの楽曲を取り上げますが、話としてはまったく違う頃の話でもあり、前回との繋がりもなく書くことになろうかと・・・。

また、ブラームスの音楽との出会いについても、第11回(2016/12/15)の中で書いたこともあって、今回は省かせていただきます。

では(前置きが長くなりましたが、はじまり、はじまり~)。

・・・・

・・・・

またここ最近、この盤の音がやけに心地好く耳に届く。

 

ところで、コーヒー好きである。それも温かいのに限る。

(コーヒー好きであることは、ライヴに来ていただいている方であったり、このブログでの「ライヴ報告」をお読みいただいている方ならお気づきだったかな?)

 

喫茶店、カフェ、・・・等に寄ったときに注文するのは、そのお店それぞれのブレンド・コーヒー。もちろん、「ホットで・・・」ということになる。

ゆっくり時間を掛けて味わう。徐々に冷めつつもそこに伴うコーヒーの味の変化も楽しむ。

たま~に、残念にも、がっかりさせられるお店があれば、偉そうにも二度と入らない。

だから、東京都内の他にも、ライヴ活動で何度か訪れたことがある各地には、お気に入りのお店(喫茶店、カフェ)が勝手ながらあって、そこに通う。

 

3年ほど前から時折だけれど、ローストした豆を買ってきて手回しのコーヒーミルで、ガリガリ・・・、ゴリゴリ・・・、ググググ・・・、スー・・・っと、自身で豆を2杯分だけ挽いては、沸かした湯をほんの僅かに冷ましたなら、小ぶりのポットを手でゆっくり静かに傾けてドリップ・・・などなどのこともして、少々の贅沢をしている。

だけれど、どうやらあまりセンスがないらしく上達していない(汗)。お気にりのお店でプロに淹れてもらったコーヒーの方が当然のことながら、はるかに美味い(笑)。

 

それでも、自分で淹れたコーヒーの味わいを深めてくれる味方が居ることに、最近になって気が付いた。

 

その味方とは、・・・クラリネット奏者のレオポルド・ウラッハ(ヴラッハ)とウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の演奏で、ブラームス作曲「クラリネット五重奏 作品115」を収録した盤だ。ここから現れる音たちは、1951年の録音で、その後に1976年に再版した・・・でも、これはLPレコード盤だ(笑:上の写真)。<さらに最近CDでも再版されているようです>

 

このLPレコード盤を手にしたのは2009年頃のこと。

抱えた病気が重くなって2度目の社会的リタイヤにまで追い込まれたところから(2004年)、ようやく社会復帰して、

<何とかやっていけそうだ>

という感覚をもち始めたばかりの頃だ。

その日は、三鷹や吉祥寺、さらに下北沢周辺を、ほぼ一日中掛けて中古レコード店の各店を順に巡っていた。こうして出会った盤だ。

どうやら、クラリネット奏者ウラッハのシリーズとして出されたLPレコード盤で、このとき、もう1枚同じく、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団との演奏で、モーツアルトの「クラリネット五重奏」を収録した盤も一緒にあったので、少し無理をして同時に2枚とも購入した(汗)。

 

帰宅して、早速、レコード・プレーヤーに置いて針を乗せてみると、盤の状態もとても良好だった。この50年代のモノラル録音がなんとも耳に優しい。それだけでなく、モノラルの割にはホール感ある残響が薄く微かでありながら丁度好い具合にあるのが、温かく拡がりさえも感じさせてくれる。

 

「あれ?」と思った方はこのブログをよく読んでいる方ですね~。

これまでクラリネットに絡む話題のときは必ずと言って、「カール・ライスター」というクラリネット奏者の名前が出てきた。

淀みのない透明感のある音色に精密かつ高度なテクニックを魅せつけて、遂、「完璧」と言いそうになる完成度の高い音楽で魅了するクラリネット奏者の名前だ。・・・ベルリン・フィルの首席クラリネット奏者としてだけでなくソロ活動も含めて、特に、1970年代後半頃から2000年頃までに掛けては精力的に演奏活動とレコーディングに挑んだクラリネット奏者だ。

 

対して・・・、

今回のこの盤で紹介しているレオポルド・ウラッハとコンツェルトハウス四重奏団(録音当時は、アントン・カンパー、カール・マリア・ティッツェ、エーリッヒ・ヴァイス、フランツ・クヴァルダがメンバー)は、彼らはいずれも、同時にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の奏者で、主に1930年頃から1950年代に活躍している。

きっと、それでだろう、その伝統的でウィーンフィル独特の柔らかく包み込むようなアンサンブルは、精密とか高度なテクニックというよりは、人間的で、心情豊かな響きをもたらしてくれる。

ウラッハのクラリネット自体もそうで、4人の弦楽器アンサブルに溶け込みながら、さらに穏やかで包容力のある音色で、「ゆったりとお聴きください」とでも語ってくるような演奏だ。

これらの演奏がもたらしてくれる音たちは、更に、ブラームスが作曲した「クラリネット五重奏 作品115」という楽曲で表現される音の一粒一粒も、楽曲全ての流れにも真に合致している。だから、この上ない優しさと温かみのある心地好さを届けてくれる。

 

つまりは、自分で淹れたコーヒーも、極上の味わいへと(少し盛り過ぎか?:笑)錯覚を引き起こしてくれて、これがますます勝手なる心地好き(よき)時間へと誘ってくれるのだ。

こうして、

 「ん~、美味しいねぇ~」

となる・・・(笑)。

一時の幸せ感なんて、こんな錯覚が切っ掛けでもよいのかも知れない・・・と、思えてくる。

 

さてと、もう一杯、コーヒーの御かわりを・・・。