「今日の一曲」シリーズの第70回。
70枚目の盤をご紹介させていただきながら、その中の一曲とともに、今回もまた様々勝手に語らせていただこうかと思います。
前回、チラッとだけ触れたこの方のアルバム(LPレコード盤)をもとに・・・、では・・・。
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前回、第69回(2018/02/08)に登場の・・・一緒に食堂で定食をガッツいて食べていた大学の先輩(1つ上)は、その井上陽水の大ファンという食堂のオバちゃんの紹介で知り合った。きっと、入学して数か月過ぎても大学生活に馴染み切れていない若ぞうを見かねてだったのだろう・・・音楽好きという共通項を探り当ててくれたオバちゃんのお節介かつ優しさから生まれた縁だった。
で、もともとはこの先輩から、ハーブ・アルパート、1979年のアルバム「ライズ」(LPレコード盤)を聴かせてもらったのが切っ掛けだった(第10回(2016/12/12)に記載:このときはアルバム「ライズ」の中から「アランフェス」を紹介)。
あえて分かりやすく区分けした言い方をすれば、70年代後半から80年代前半の「フュージョン系ジャズ」または「フュージョン系ポップス」と呼ばれる音楽、そのトランペット奏者であり音楽プロデューサー。
「ハーブ・アルパート」と言えば、やはり「ライズ」は最高でご機嫌な一曲だ。
・・・と言っておきながら、この「今日の一曲」シリーズでは未だ詳しくは紹介していないのだけれど・・・素直じゃないから(笑)。
よく憶えている景色の1コマ・・・。
この頃には珍しく専攻するゼミの研究室に入り浸っていることもなく、早目にアパートの自室に帰ってボーっとしていた。
夕方、あまり遅い時間帯ではなかったと思う・・・松山千春さんがDJをつとめるラジオ番組があった。
当時はラジオというと、私的には、大抵、FM局のものを好んで聴いていたのだけれど、たまたまAMラジオのバンド上でチューナーを探っていたところ、「面白そうだな」となって選局した番組がこれだった。
アパートの木枠の窓ガラス越しに見える外の景色・・・少し離れた小学校の校庭の際に並んだ桜や銀杏の木々の葉が秋色に、でも、この日は、弱い雨がしとしとと降っていて、鎮まった感じのトーン(色調)に映って見えていた。
「少し強い雨が降る中、車を運転しているときでさぁ、フロントガラスに落ちて車のワイパーに弾かれる雨粒と、前方の濡れた道路と一緒に過ぎて行く景色とが重なる様が、カーラジオから聴こえてきたこの曲とぴったり合った感じがしたんだよねぇ・・・」
「・・・では、今日、最後の曲は、ハーブ・アルパートでマジック・マン、松山千春でした」
(すみません、この部分の会話文は正確さを欠きますが、おおよそ、こんなことをおしゃっていたと思います)
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<雨かぁ~>
眺めていた窓外の景色と、ラジオから聴こえてきた松山千春さんの語りとが、何だか少し重なった気がした。
そして、
『マジック・マン(MAGIC MAN)』
が聴こえてくる。
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<新しいアルバムを出していたんだなぁ~>
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ハーブ・アルパートのトランペットは・・・、
トランペットという楽器がもつそれならではの音を張ったハイトーンや煌びやかな音色で華やかに演じて魅せたりが決してない。
まったくその逆だ。
落着き払って語りかけてくる。甘く囁いたりもする。熱く語るときもあるけれど、内面にしまってあるその何割かは内に秘めたままで何処か大人な語り口で情熱さえも表現する・・・。
その分、余計に聴く人(私)の内側を揺さぶる。
が、「マジック・マン」は、また更に(アルバム「ライズ」に比べて)、より大人っぽく、より紳士的に、聴こえてくるのだった。
再び窓外に目を向けると、夕暮れというよりは雨のせいだろう、辺りは薄暗くなってきていて街灯にも灯かりがともるのが見えた。
<ラジオの電源はOFFにして・・・と>
<さてと、行くかな・・・>
当然のことのように(?)・・・、傘をさしながら船橋市と習志野市の境くらいのところにある例のレコード店へと向かった。
ハーブ・アルパート、1982年のアルバム「マジック・マン(MAGIC MAN)」(LPレコード盤)を手にするために(上の写真:笑)。
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