「今日の一曲」の第51回目。
リスト作曲「ハンガリー狂詩曲 第2番」をご紹介しながら、いつものことながら、あれこれと語らせていただこうかと・・・。
とは言っても、この曲、クラシック音楽と呼ばれる中でも、クラシック音楽ファンならずとも比較的多くの人が作曲者のリストの名前を含めて耳にしたことのある広く知られた曲なので、楽曲の説明など、私ごときの蘊蓄をたれるまでもないように思う。
でも、少しだけ・・・(笑)。
19世紀のハンガリー出身の作曲家であり、編曲家であり、ピアニストであったリスト。「鍵盤の魔術師」などとも称される天才中の天才だったらしい。
そのリストは自身の出身であるハンガリーの独自の文化や民族音楽・舞踊を取り入れた作品を「ハンガリー狂詩曲」として、たしか・・・19作品だったかな(?)創り上げている。
中でもよく知られているのが、第2番と第6番。
・・・という知識は、小学校の3年生くらいのときにはあった。
誰でも興味・関心をもった事柄は、すぐに覚えて、なぜか記憶にも残っている。
この曲との出会いは4~5歳くらいのとき、以前よりこのブログ「今日の一曲」をお読みいただいている方は状況を容易にご想像いただけるかと・・・、
そう、洋服職人の叔父(母の弟)が我が家に遊びに来る度に持ってきてくれたレコード盤、その中の1枚(SP盤)に「ハンガリー狂詩曲 第2番」があった。それを聴いたのが最初だった。
管弦楽のオーケストラ・バージョンのものだった(どこのオーケストラの演奏かまでは憶えていない)。
冒頭の重々しい響きと大きな車輪がゆっくり力強く回りはじめたときのような重量感のあるテンポ、一転して、リズミカルで飛び跳ねて動き出したくなるような軽快な当に舞踊曲的なフレーズ。この両極端で単純明快な音楽が幼い私に『面白さ』を印象づけた。
だから、「ハンガリー狂詩曲・・・」というと、管弦楽の割と大きな編成の楽曲なのだと思い込んでいた。
それは小学校の3年生まで続いた。
その小学3年生のときの音楽の授業で事件は起こる(笑)。
先生がレコード盤を1枚取り出して、教室の大きな2台のスピーカーから音を鳴らしてくれた。
ピアノ曲だ。
冒頭の重々しい響きと重量感たっぷりのテンポ!
<ハンガリー狂詩曲 第2番・・・だ!>
「この曲、知っているヒト~!」
そっと手を挙げる・・・
が、手を挙げながら、すごい戸惑いがあった。・・・現在も確りと記憶に残っている。
<だけど、ピアノ曲だよなぁ・・・?>
3人か4人が手を挙げていたと思う。
他の子が当てられて答えた。
「ハンガリー狂詩曲」
「正解~!」
・・・・
その日だったか、翌日だったか、数日後だったか、そこまでは憶えていないけれど、放課後、学校の図書室に行って、リストとハンガリー狂詩曲について調べたのだった。
もちろん、原曲は、ピアノの独奏曲。
ついでに、上記に記したような知識が頭の中に入り込んで残ったのだった。
音楽の授業で先生に質問はしなかった。独りで、そっと図書室で調べた。きっと、自分だけで確認したかったのだろうね・・・。
時代は一気に飛んで、1999年から2000年頃。
フジコ・ヘミングがその不遇の時代をも乗り越えてきたピアニストとして、日本で大ブレーク。
独特のテンポ感と呼吸感をもった演奏に多くの人が関心を寄せた。
楽曲の持ち味が崩壊してしまうギリギリのところでのテンポ感、そして、呼吸感だ。良し悪しというよりもスリル満点『面白さ』のある演奏だ。もちろんテクニックがお粗末ではこのような演奏はできない。
ピアノの演奏に詳しい人からすると、左手で弾いている音がやや強いなどという人もいるようだが・・・、聴き応えは十分だ。・・・個人的な感想だよ。
更に数年して・・・、あまり書くとプライバシー云々になるので詳しく書けないが・・・、長女がフジコ・ヘミングのリサイタルへ行って来た。メッセージカードを添えた花束をステージ上のフジコ・ヘミングに直接渡すことができて、握手まで交わしてきて、大はしゃぎ。数日後だったか、直筆サイン入りの礼状の葉書まで届いて、またまた大喜び。
で、ある日、フジコ・ヘミングのCD(上記の写真)を聴いていたのは長女だった。
このCD、リスト作曲の「ラ・カンパネラ」がタイトルになっているが、7曲目に「ハンガリー狂詩曲 第2番」が収録されていて、そのうちに部屋に聴こえてきた。ハンガリー狂詩曲とフジコ・ヘミング、この上ない双方の『面白さ』が聴こえてきた。思わず、自身の小学3年生のときのことを想い出したのだった。
CDを聴いている長女もちょうど同じ頃の年齢になっていた・・・。
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