今日の一曲 No.47:シューマン作曲「トロイメライ(子供の情景 作品15より)」

「今日の一曲」の第47回目。

今回は、シューマン作曲「トロイメライ」を御紹介させていただきながら、あれこれと・・・(汗・笑)。

 

クラシック音楽ファンのみならず多くの人が耳にしたことがある曲かと。

その「トロイメライ」とは「夢」を意味するらしい。

シューマンが作曲した「子供の情景 作品15」は、ピアノ独奏曲として13の小品曲で構成されている。シューマンが恋愛中のその御相手クララ(後のシューマン夫人)に贈った作品でもあるらしい。「トロイメライ」はその「第7曲」にある。

だからなのか、「子供の情景」としながらも、その中の「トロイメライ」からもそう感じるのだけど、無邪気さや純粋さに少しロマンチックな愛らしさを感じるような・・・。

 

少し、またまた私的に振り返させていただくと・・・、

4歳から5歳頃によく聴いていた一曲にあった「トロイメライ」は、アナログ・レコードのSP盤からで、チェロの独奏にピアノ伴奏がついたアレンジのだった。

そう、以前から何回か書かせてもらっている洋服職人の叔父が所有するものだった。私が幼い頃に叔父が家に遊びに来ては置いていってくれたレコード盤の中にあった。

「トロイメライ」というと、小学生の頃までは、チェロという楽器の形状とその響きが頭の中で浮かび上がってくるのだった。いや・・・現在もそうかも・・・。

ゆったりと、あたたかくて、包み込んでくれるような安心感のある響きを・・・。

 

さて、時が経過して、前回の「今日の一曲」とほぼ同時期か少し後だったと思うのだが・・・、

「スタニスラフ・ブーニン」のピアノ独奏リサイタルのチケットがひょんなことから手に入った(悪いことはしていないよ(笑))。

まぁ~、若き日のブーニン、神経質な仕草が度々あらわになるリサイタルだった。優れた技巧の演奏には大いに納得したが、正直、あまり楽しくは過ごせなかった。

1985年の「ショパン国際コンクール」で19歳で優勝して以来、日本ではブーニン・ブームとも言える異常な人気ぶりが背景にあった。1988年にドイツ(当時の西ドイツ)に亡命。それから2年後くらいに来日したときのリサイタルだったように記憶する。それでも記念にと思って、帰宅する前に、ロビーで売られていたCDの中からその一つを購入した。

「子供の情景 作品15」など、この日のリサイタルでは演奏されなかった曲が収録されているCDをわざわざ選んだと思う(上の写真)。

 

これより数日後にこのCDを聴く。収録されている「子供の情景 作品15」は、美しく、繊細で、かつ、一粒一粒の音が変幻自在に表情を魅せてくれる・・・そんな演奏に感じた。そう、技巧的な面は決して前面には感じない。

それは、「トロイメライ」も・・・。無邪気な子どもが見る夢を、静かに、そして、自然に笑みがこぼれるかのような表情で見守りたくなるように感じられるのだった。

 

当時は、自身にも、目の前に、この遺伝子やら血を受け継ぐ存在が生命を宿しはじめた頃であった。

シューマン作曲、「子供の情景作品15」より「トロイメライ(夢)」を、今日の一曲として、ご紹介させていただいた。