今日の一曲No.44:チャイコフスキー作曲「ヴァイオリン協奏曲」(ブロニスラウ・ギンペル&ヨハネス・シュラー&バンベルク交響楽団)

「今日の一曲」の第44回目。

 

今回は、チャイコフスキー作曲「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調作品35」を紹介させていただきながら、諸々書かせていただこうかと。

 

僅かな記憶で当てに出来ない部分もなくもないが、小学3年生の頃だった思う。4年生のときには学区の変更があって徒歩5分ほどで通えてしまう新しい小学校へ移るのだから、これよりは以前のことのはずだ。やはり、3年生のときだったとする根拠らしいものはある(汗)。

 

その当時に、クラシック音楽やその演奏家を紹介するようなテレビ番組が放送されていたのだろう、初めうちは、さほど強い関心をもってテレビの前で視入っていたわけでもなかった。そのうちに、ダイナミックな音楽が聴こえてきて一気に引きつけられた。映像に目をやると、どうらや盲目の方がヴァイオリンを演奏されている。音ともに迫力あるそのヴァイオリニストの演奏姿に、ますます引き込まれるのだった。

 

これが記憶の中にある、チャイコフスキー作曲「ヴァイオリン協奏曲」との最初の出会いだ。

映像に視た盲目のヴァイオリニストは、「和波たかよし」さんだったのだと思う。後に中学生くらいになってから、様々調べながら、おそらくそうであったのだろう・・・という結論に至った。

 

「今日の一曲」の第2回目(2016/10/04)に載せたチャイコフスキー作曲「ピアノ協奏曲第1番」を知る切っ掛けも、たまたまテレビから聴こえてきた音に衝撃を受けてだった。どうやら、幼いときから敏感にチャイコフスキーの音楽に反応してしまう自分が居るようだ。丁寧に記憶を辿ると何か理由らしきものがあるのかも知れないなぁ〜・・・。

そんな小学生時代からそれ以来、何かとチャイコフスキーの音楽は重要なタイミングで心の奥底に残るような存在にもなる。

 

ところが、高校生くらいからは、何故か、悪いジンクスを思い起こさせる存在になってしまう。心の奥底に傷を残すような・・・。別にチャイコフスキーが悪いわけでもないだろうに・・・。まったく、チャイコフスキーさんに失礼な話なのだが、チャイコフスキーの音楽を聴くと、好からぬ事態が自身に降りかかってくるというジンクスだ。社会人になってもこのジンクスは崩れることなく、おかしな話だが、正直、今でもチャイコフスキーの楽曲を聴くことには少々の恐れがある(汗・笑)。

 

話が脱線しているような?・・・(笑)。

話を戻そう。そう、「ヴァイオリン協奏曲」の話にね。

 

で、テレビから聴こえてきた印象深いこの曲がチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」だということは、当時の小学3年生には理解できていなかった。第1楽章の力強いフレーズと盲目のヴァイオリニストのエネルギッシュな演奏姿だけが脳裏に焼き付いて残っていた。

 

中学1年生になって、様々なクラシック音楽が収録されたLPレコード盤の全集を買うのだが(買うまでの経緯は第1回(2016/07/20)に書かせていただいたので今回は省く)、この全集の中の1枚から、遂に、脳裏に焼き付いて残っていたフレーズが耳に飛び込んできた。

これも度々記してきていることだが、この全集、全集とは言え、あなどれない名演奏が数多く収録されている。・・・って、現在になって気付き驚いている。

ヴァイオリンがブロニスラウ・ギンペルで、ヨハネス・シュラーの指揮、バンベルク交響楽団の演奏のものだ(上記の写真)。

 

初めて、この盤をレコードプレーヤーに乗せて針を置いた中学1年生は、「この曲だ!」と気付いた。長い間、脳裏に焼き付いて残っていたヴァイオリン協奏曲の音と響きは、真にこれだった。感動のあまり涙ぐんでもきて・・・慌てて涙をさりげなく拭った。周囲には誰も居なかったので知られずに済んだのではあるけど、少し恥ずかしくも感じた。

現在はオジさんである者にも、かつては、こんな純粋な頃もあったという鮮明な記憶だ(笑)。

小学3年生から中学1年生になるまで、曲名も作曲者名も確認する切っ掛けがないまま、秘めたような想いで心の内の何処かで抱えていたのかも知れない。

家族の中で「音楽好き」というのは私め一人だけで、当時の小学生が確認するには切っ掛けがなかなか無かったのかなぁ〜。

それだけに、その分、感動的な再会となったのだと思う。

現在のようなインターネット社会なら小学生でもすぐに確認できただろうにね。ま、長い時を経てきたからこそ、感動的な涙の再会に繋がったのだから、速い解決ばかりが全てではないのだろうけど・・・。

 

現在もこの曲を聴く度に(恐る恐る?)、小学生の頃にテレビで視た盲目のヴァイオリニストの演奏姿と、中学1年生が涙ぐんでレコード盤を前に聴いていた場面が、重なり合うようにして時を遡って浮かび上がってくる。

そんな懐かしく純粋な感動を届けてくれるチャイコフスキー作曲「ヴァイオリン協奏曲」を、「今日の一曲」として紹介させていただいた。