今日の一曲 No.43:マーラー作曲 交響曲第8番「千人の交響曲」(小澤征爾&ボストン交響楽団・タングルウッド祝祭合唱団)

「今日の一曲」の第43回目。

 その前に・・・

ここ数日間、大雨や洪水、土石流などによる災害、また大きな地震もありました。これら自然災害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。同時に、お亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げます。

 

今回は、マーラー作曲の交響曲第8番「千人の交響曲」。小澤征爾指揮、ボストン交響楽団とタングルウッド祝祭合唱団の演奏で、1980年収録のLPレコード盤とともに、紹介させていただこうと思う(上の写真)。

 

第9回目(2016/12/03)では、マーラーの交響曲第2番「復活」(ズービン・メーター指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)を紹介させていただき、1986年頃当時の「マーラー・ブーム」と最新技術「スーパー・アナログ・ディスク」に、まんまと乗せられた感じを含めながらマーラーの音楽を知った切っ掛けを主に書かせていただいた。

 

私がレコード店で実際に手にしたのも、上記の第2番「復活」の方が先で(1986年)、今回ご紹介の第8番「千人の交響曲」のLPレコード盤はその半年くらい経ってからだった。

まぁ、「マーラー・ブーム」に引き続き乗せられていた部分も若干あったことは否定しないが、第2番「復活」を何度も繰り返し聴くようになって、マーラーの音楽の心地好さや味わい方を知るに至り、次なるマーラーの交響曲を自ら求めたことを強調しておきたい。

・・・そんな主張はいらない?(汗・笑)。

 

で、自宅近所の例の物静かそうなオジさんが一人で開いているレコード店に行くのだった。マーラーのLPレコード盤が置かれたラックを前にして、この頃にはそれはもう熟練技の域に達していた手さばきでジャケットを素早く安全に摘まみ上げては元に戻す作業を、そう、3、4回ほどは往復した。

マーラーの交響曲だけでも何種類もの盤が置いてあったが、最終的には直感で選んだ。・・・??

いいや、日本人指揮者である小澤征爾が実績を重ねて世界に認められつつあった頃で、その小澤征爾さんがボストン交響楽団の創設100年を記念してレコーディングに臨んだ盤であったことに関心が及んで選んだと思う。

確かに、この盤も「デジタル・レコーディング」という当時の最新録音技術を売りにしていたので、またしても、結局はそこに誘導された・・・というのも少〜しだけあったかも知れないが・・・(笑)。

 

さて、このLPレコード盤を手に取ってから、付属の解説や、他の音楽関連の書籍で後々調べて知ったことだが、どうやら、マーラーの策にまんまとハマったらしい。

第2番「復活」と第8番「千人の交響曲」は、マーラーがこれらの曲の意図やメッセージとしてその繋がりを強く意識した2曲らしいのだ。第2番「復活」の延長線上に更なる深い表現を求めて第8番「千人の交響曲」を創り上げたとか・・・。

見事に(見事かどうかは別だが・・・)この順番でチョイスしたことになったというわけだ。・・・偶然だけど、チョット自慢げ(笑)。

 

第8番「千人の交響曲」、この盤に初めて針を置いて、実際に耳に届く音を聴いたときには、そのスケールの大きさと繊細さは第2番「復活」で繰り返し味わった心地好さがここにもあったという感じだった。だけど、それよりも、もっと開かれた、もっともっと広い場所へと拡張された外の世界へと連れ出してくれるような感覚になった。

マーラーが意図したことなどこの時はまだ知らなかったが、聴こえてくる音と響きに、自然と心も身も感じ取れていたような・・・、それとも、これもマーラーの策にハマったということのなのか・・・?

 

「千人の交響曲」というのは、マーラーが名付けたものではなく、セールス側の戦略があったようだ。それでも、実際に、850人を超える演奏者によって成立する楽曲だそうで、そこに集結する大きなエネルギーを、マーラーは信じて、きっと巧みに計算もして、この世界観を表現したのだろうと想像したくなる。

 

このLPレコード盤を聴き終えたときは、いつも、開かれた想いと同時に、穏やかな優しい気持ちにさせられる。そんな、マーラー作曲の交響曲第8番「千人の交響曲」を、小澤征爾指揮、ボストン交響楽団とタングルウッド祝祭合唱団の演奏が収録されたLPレコード盤とともに、「今日の一曲」として紹介させていただいた。