今日の一曲 No.41:グレンジャー採譜・編曲の組曲「リンカーンシャーの花束」(フレデリック・フェネル&クリーブランド・シンフォニック・ウィンズ)

「今日の一曲」の第41回目。

あれ?・・・いつ?・・・どこで?・・・手に入れたLPレコード盤だろう?・・・というのが1枚だけある(汗)。吹奏楽曲が収録された盤だ。

 

その中から今日ご紹介するのは、パーシー・グレンジャー採譜・編曲の組曲「リンカーンシャーの花束(Lincolnshire Posy)」、フレデリック・フェネル指揮、クリーブランド・シンフォニック・ウィンズ(ウィンド・アンサンブル)の演奏で、1979年録音・1980年発売のLPレコード盤(輸入盤)に収録された1曲だ。

 

この「今日の一曲」で度々登場する自宅近くのレコード店でもなく、船橋市と習志野市の境くらいにあるレコード店でもなく・・・、おそらく、何かのついでに、新宿や下北沢か吉祥寺のレコード店を廻りながら、たまたま見つけて買った盤なのだと思う。

だから、実際に手にしたのは、1980年〜83年のまだ学生の頃で吹奏楽曲にも関心を持ちはじめた時期か・・・、でなければ、1990年前後で、社会人として仕事にもようやく自信がもてるようになってからのことだ。

もしかしたら、1990年に、世界最高峰の吹奏楽団の一つ、イーストマン・ウィンド・アンサンブルが来日したコンサートに行ったので、その頃に手にしたのか・・・。

 

いずれにしても、イーストマン・ウィンド・アンサンブルの創設者であり、吹奏楽の世界で最も注目されていた指揮者フレデリック・フェネルに興味があって、この盤を手にしたことは間違いない。

加えて、イギリス(イングランド)をテーマにした吹奏楽曲が集められていることにあったはずだ。

当時、日本では吹奏楽というと、アメリカの吹奏楽曲を収録した盤が圧倒的に多く、コンサートなどで演奏される楽曲もそうで、これらは華やかなるキレのある管楽器・打楽器の響きが先行する楽曲が主なだ。それに対して、イギリスの古き文化や風土から重ねられてきたイギリス(イングランドやウェールズ)の吹奏楽の響きはこれとは対照的で、ふくよかで温かみのある管楽器を中心とした響きが特徴で、個人的にはこちら側に興味があった。

このLPレコード盤を見つけたとき、イギリスの吹奏楽をアメリカ人のフレデリック・フェネルがどう聴かせてくれるのか?・・・に、大いに興味をもって手にしたはずなのだ。

 

で、当時からすぐに気づいていたかどうかは疑問だが、演奏しているクリーブランド・シンフォニック・ウィンズは、アメリカの5大オーケストラの一つクリーブランド交響楽団の管楽器・打楽器のメンバーで構成された吹奏楽団だ。しかも、クリーブランド(オハイオ州)は指揮者フレデリック・フェネルの出身地だ。その地で録音した盤でもある。

 

こんなにも興味をそそられるものが詰め込まれたLPレコード盤だったのだ。

その中でも、組曲「リンカーンシャーの花束」は、イングランドのリンカーンシャー地方の現地の人たちから採聴した6つの民謡を、グレンジャーが採譜、それを吹奏楽に編曲した曲だそうだ。

そのまま6つの組曲で構成されているのだが、調や拍子が一定ではなく複雑になる箇所もある。それは現地の人が歌うそれを忠実に再現しようとした狙いがあってということだ。

グレンジャー自身はオーストラリアの出身で、ピアニストとしてヨーロッパを中心に活躍した人らしい。

 

・・・などなど、この盤が輸入盤で、解説が英文で書かれているために、この英文をざっくりと訳して大まかには読み取るのだが、盤を手に入れてから後々自身で様々調べたであろうメモが残っている。

今ならネット検索で直ぐだが、当時だから英和辞典を片手に音楽関連の辞典などを探りながら図書館で調べたのだ。この盤に限らず、楽曲や作曲者について詳しく知りたくなると、必ず図書館へ行って調べることをしていた。若いときはこれも趣味のうちだった。

このメモを見ると学生時代の感じには思えないので、1990年頃に手にした可能性が高い。だとすると、下北沢か吉祥寺・三鷹の中古レコード店を廻りながら買ったのかな・・・。

 

さて、今日ご紹介のLPレコード盤のその演奏は、上記に記した事柄が、うまぁ〜く、見事なくらいバランス良く混じり合った音と響きとなって届いてくる。特に、グレンジャーの組曲「リンカーンシャーの花束」は、採聴した民謡のフレーズが面白みを感じさせてくれながら、イングランドっぽくもあり、アメリカっぽくもあり、吹奏楽ならではの管楽器の音圧の豊かさがそのサウンドから堪能できる。私的過ぎる感想だが、これは名演と言えるかと・・・。

「今日の一曲」では初めてのことだが、当時ではなく、現在この瞬間に聴きながらでの感想だ。

 

この盤を聴きながら、残してあったメモ用紙も眺めながら、当時の何かを想い出すかと期待しながらブログに起こし始めたのだが、自分でもあきれるほど、まったく想い出せない(汗)。

 

パーシー・グレンジャーの採譜・編曲の組曲 「リンカーンシャーの花束」、フレデリック・フェネル指揮、クリーブランド・シンフォニック・ウィンズの演奏を、「今日の一曲」として紹介させていただいた。