「今日の一曲」の第34回目。
前回までクラシック音楽が続いたので、異なるジャンルから・・・
今回は、松岡直也の「MIRAGE(見果てぬ夢)」をご紹介しつつ、出会った当時などを振り返りながら書かせていただこうかと・・・。
これまでも何度か登場シーンのあった船橋市と習志野市のちょうど境辺り、4畳半一間の部屋を借りて初めて一人暮らしをしていた頃のことだ。
そこから歩いて10分ほどの所(そこは習志野市)のレコード店に、目的もなく立ち寄ることが、そこで2年ほども生活しているうちに、もう習慣になっていた。
LPレコード盤を例のごとくの手さばきで、素早く安全に摘まみ上げてはジャケットを確認、また素早く安全に元に戻す。LPレコード盤の探索はこれだ(笑)。
松岡直也・・・、当時の情報源はFMラジオかFMラジオ関連の雑誌だったのだが、これらでこの名前は知っていた。その音楽も少しだけ聴いたとは思うが、このときにはまだ印象に残っているほどではなかった。
購入動機の半分以上は、お得意の「ジャケ買い」だ。
目に留まったジャケットのその街の風景は写真ではない。絵画(イラスト)だ(上の写真)。
これに惹かれたというわけだ。
なんか、すみません・・・って、なに謝っているのだろう(汗・笑)。
で、松岡直也の初のソロ・アルバム「FALL ON THE AVENUE(見知らぬ街で)」を買った(上の写真)。
部屋に戻って、レコード・プレーヤーに乗せて針を置く。
「ジャケ買い大成功!」だ。
期待以上の音楽が流れてくる。
このアルバムに収録された楽曲どれもが、ラテン系パーカッションの数々から繰り出されるリズムと、ポップな中に、少しジャズな感じであったり、少しロックな感じであったりするアレンジが、鍵盤奏者である松岡直也のシンプルで大人なロマンティックさを感じるメロディとともに奏でられるのだった。
A面の3曲目、アルバム・タイトルにもなっている「FALL ON THE AVENUE(見知らぬ街)」はテレビCMにも使われていたらしいのだが、私の部屋にはテレビが無かったために知らなかっただけのようだ。この曲も、最初に針を置いたときから好い感じの印象的な曲だった。
でも、個人的には、B面の1曲目の「MIRAGE(見果てぬ夢)」が一番に気に入った。
ラテン・パーカッションの情熱的なリズムに、時折、ベース・ラインがロックっぽさを覗かせたりするアレンジでありながら、あくまでも、松岡直也が奏でるアコースティック・ピアノはシンプルに淡々と、そして、どことなく寂し気で優しい大人なメロディを奏でる。
このリズム帯と鍵盤のメロディの温度差、この絶妙なバランスこそが、たまらなく感じる一曲だった。
・・・なんて、少し気取ってみて感想を説明したくなってしまう(笑)。
20歳を少し越えて、大人へと背伸びしてみせたいのと同時に、社会人として、大人して、先の将来や未来に漠然とした不安もあって聴いていたようにも、現在から振り返ってみると感じる。
何しろ10歳代からこの当時も、「夢」や「希望」などというものを持ち合わせていない・・・という自覚でいたからだ。
現在の私からは想像できないだろうけど、こんな若者だったのだよ。
ひょっとしたら、無意識にあった心の隙間を、松岡直也の「MIRAGE(見果てぬ夢)」で、ひと時でも埋め合わせていたのかも知れない。そんな「今日の一曲」をご紹介させていただいた。
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