「今日の一曲」の第19回目。クラシック音楽のLPレコード盤を取り上げての話は、これまでも割合として多めではあったが、古典の作品を紹介するのは今回が初めてだ。
実を申しますと(何あらたまってんの?)、クラシック音楽も様々聴いてはおりますが、モーツアルト、ハイドン、ベートーヴェン・・・は、あまり好むものがなく・・・。これらの音楽ファンの方は怒らないでもらいたい。音楽評論家でもなんでもない、ただのオヤジの好みなので。
さて、こんなオヤジにも若い時はあったわけで、高校生時代にさかのぼって紹介する曲は、モーツアルト作曲、「クラリネット協奏曲K.622」だ。
この曲も、LPレコード盤とCDとで合わせて4枚持っているが、ここで紹介するのは、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団、クラリネット奏者はカール・ライスターの演奏で、これを収録したLPレコード盤だ。
真にオールスター大集合という組み合わせの「クラリネット協奏曲」だ。
が、興味をもったのは、クラリネットという楽器の音色だった。
このLPレコード盤を手に入れる少し前、高校生1年生のときだ。
当時住んでいた東京の田舎方面(笑)の自宅からであっても、在来線の電車で30分ほどで行けるところには少し大きなホールがあって、日本を代表するクラリネット奏者の村井祐児さんのリサイタルがあった。よくチケットが手に入ったものだ。記憶がない・・・チケット代はどうやって払ったのだろう?モーツアルトの「クラリネット五重奏曲」がプログラムのメインだったと思う。
このリサイタルが切っ掛けで、マイブームがクラリネットということになった。
なんだろうか。クラリネットの音って、何かをそっと包んでくれるような感じに思えた。それも、神経質にではなく、どこかユーモラスもあって。
高校時代、なんだか冷めてたからなぁ〜(笑)。心奥では何か欠如して求めていることが多々あったのかも知れない。
もちろん、マイブーム中に、モーツアルトの「クラリネット五重奏曲」をレコード店で買い求めたこともしたが、今日紹介のオールスター大集合のLPレコード盤で(上の写真)、当時の高校生は、更に、クラリネットの音色にハマっていった。
カラヤン指揮で、ダイナミックスのレンジが他のものとは一段階違うようにも思えたが、もっと惹かれたのは、カール・ライスターが演奏するクラリネットの音色だ。
明らかに、それまで聴いてきたものとは異なる。・・・って、16・17歳だ、たかが知れているのだが(笑)、そう思ったのだよ。生意気にも。
少し後になってから知ったことだが、クラリネットというのは、「フランス式」と「ドイツ式」の2種類があるということだ。
日本人のクラリネット奏者の多く、または、中学校や高校の吹奏楽部の人たちが吹いているのは「フランス式」。だから、どうしても日本では「フランス式」のクラリネットの音を耳にする場合が圧倒的に多いのだった。ところが、カール・ライスターが手にしているクラリネットは、「ドイツ式」だ。
より透明感と静寂感、温かみとほんの僅かに重厚な落着きと芯を感じる。「いやいや・・・これがクラリネットの音色かぁ!」と、一種のカルチャーショック的な衝撃を受けた憶えがある。
以来、カール・ライスターと「ドイツ式」クラリネットが、マイブームへと発展していったことは言うまでもない。
あれ?「フランス式」のクラリネットの音色も好きだよ。誤解なきように(笑)。現在は、「フランス式」のクラリネットの音色の好さも味わって聴いている。当時の高校生の馬鹿ガキの感じ方を再現しているので配慮なきことがあれば許してやって欲しい。
さあ、一気に12・13年の月日が経過して、社会人にもなって仕事にも勝手に自信をもち始めていた30歳くらいのときだ。
カールライスターが来日。東京・上野で、円熟のカールライスターの演奏を、それも、生の演奏で、やっと堪能することができた。高揚しながらもどこか鎮めた心持ちで会場の席に居た。
「ああ、クラリネットの音色のような人になりたい」、少しおかしい(変)か?・・・でも、ようやく少し大人になり掛けた若ぞうは、そんなことを想った。
結局、「今日の一曲⑲」は・・・、ん?・・・、モーツアルトにも、カラヤンにも、ベルリンフィルにも触れてない?そうかも知れない(笑)。
ドイツ式クラリネットとカールライスターが奏でるクラリネットの音色の話だけ・・・。
「クラリネットの音色のような人」とは、未だかけ離れた人が書いたブログでした。大変、失礼をした(汗)。
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