今日の一曲No.42:浜田省吾「ラストショー」(アルバム「愛の世代の前に」より)

「今日の一曲」の第42回目。42枚目に御紹介する盤と一曲は、これまで紹介してきた中にも時折あったが、「ジャケ買い」その中の1枚になる。

 

 浜田省吾のアルバム「愛の世代の前に」、1981年のLPレコード盤だ(右上の写真)。今回はその中の一曲をあえて選んで、「ラストショー」を紹介させていただく。

 

「ジャケ買い」に至るにも幾つかのパターンがあるように思うが、この1枚は、まさに自ら積極的に「ジャケ買い」を望んで「ジャケ買い」した盤だ。

 

かと言って、「浜田省吾」さんをまったく存知上げなかったわけではないよ。当時は情報源として主にラジオ(FM)を聴いていたので、ラジオで流れてくる曲くらいは知っていて心地好く聴いていたと思う。

 

 が、ともかく、このLP盤は、「ジャケ買い」大成功の1枚なのだ。

このジャケットに惹かれた思いを上の写真だけで共有することは難しいかも知れない。実際のLP盤の大きさで手に取って眺めてこそ、このジャケットの魅力が伝わるのかな。

キャデラック?・・・アメ車らしい赤い車と夜の街をバックにした構図、シンプルだけどその色合いとコントラストが、「ん〜!カッコイイ!」。当時、咄嗟に目に飛び込んできたそれを手に取った。

 

20歳前後の頃のこと、度々登場する船橋市と習志野市の境辺りで4畳半一間の部屋を借りていたその頃だ。そこから歩いて15分ほどのところにあったレコード店には2〜3日に一度は通っていた(笑)。

例のごとく素早い手さばきでありながら柔らかく安全に、レコードジャケット摘まみ上げては元に戻す。

もちろん、音楽雑誌やラジオを聴くなどして、事前に情報を入れて狙いを定めてレコード店を尋ねることもしたが、あまり情報のないままに、レコード店でこうして探し廻るのが当時としては楽しみだった。

いつもの愚痴になるが、CDの時代になると、この楽しみは無くなってしまうのだよ・・・。

 

さて、こうしてレコード店に通い詰めて見つけ出した「ジャケ買い」の1枚なのだが、実際に4畳半の部屋に帰って、プレヤーに盤を乗せて針を置くと、これまた、ジャケットからのイメージも併せてアルバムすべてが、収録された曲すべてが、一体感があって素敵でカッコイイ音楽たちだった。

浜田省吾だと誰もがすぐに認識できる独特の歌声も重なって、レコード店で手にしたときの期待感をはるかに超えたものだった。とても嬉しくなった。

 

あえて、ホント、あえて一曲を挙げると、B面の2曲目に収録された「ラストショー」は、当時の時代を象徴するサウンドでもあり、当時の心内を気持ち良いほどにスカッと清々しくもしてくれた。恋人との別れの曲であるはずなのだが・・・。

何かを吹っ切って前に進もうとする感じが自身の想いと重なったのだろう。このときに、何を考え、何を想っていたかは現在となってその記憶は正確には残っていないが、4畳半一間の一人暮らしの部屋で、この曲を聴きながら、静かにじっくり噛み締めるように、でも、前を向いた気持ちで聴いていた記憶だけは確かだ。

 

目の前を無駄なく過ごそうと、それなりに懸命に生きていたとは思うが、自分自身が想うよりも将来への展望が見出せずにいた、そんな日々を送っていた頃だったと思う。

だから、「ラストショー」が終わりの歌ではなくて、次への始まりのように感じられて、そこに何かを求めながら聴いていたのかも知れない。

 

「ジャケ買い」も最高の1枚だった浜田省吾のアルバム「愛の世代の前に」より「ラストショー」を、今日の一曲としてご紹介させていただいた。