「今日の一曲」の第11回、今回は、ブラームス作曲の「交響曲第1番」を紹介する。
と言っても、またもや曲自体よりも、ある1枚のLPレコード盤との出会いの話になるかな・・・。
幼少の頃だ。具体的に何歳だったかは憶えていない。夕方の6時前だったように記憶するが、NHKの「みんなのうた」という番組を視聴するのが習慣になっていた頃がある。
後々になって知ったことだったが、ブラームスの交響曲第1番の第4楽章に出てくるテーマ旋律に歌詞が付いて、おそらく合唱曲になっていたように思うが、これを聴いたのが最初だ。記憶に残る限りで。
でも、ここからブラームスの音楽に興味をもつことはなかった。
学生生活がもう終わる頃だった。大人がなんであるかも自覚できていない無知で無自覚なまま、社会人として生活する時だけが近づいていた気がする。そんな頃に、音楽指揮者の小澤征爾さんの著書で「ボクの音楽武者修行」を手にしていた。この本の中で、フランスのオーケストラの指揮者で、「ミュンシュ」という人物が紹介されている。
ドイツ、オーストリア、イギリス、ハンガリー、ロシア、アメリカ、日本・・・などのオーケストラの演奏は耳にしたことはあったが、当時はまだ、フランスのオーケストラの演奏をそれまでに聴いたことがなかった。
「ミュンシュかぁ〜」、「フランスの音かぁ〜」。
これまでの「今日の一曲」を読まれた方は、その後の行動を容易に御想像できるかと思う。
「ブラームス」というよりは、「ミュンシュ」、「フランス」とういうのがキー・ワードで、レコード店へ(笑)。
不思議にも感じる偶然という出来事の一つがここで起こる。入ったレコード店に目立つように置かれているではないか。
「ミュンシュ」、「パリ管弦楽団」、これじゃないか!(上の写真)
・・・ええっと、ブラームス?交響曲第1番?・・・。
レコード盤に針を落とす。
ミュンシュ、パリ管弦楽団、ブラームス、交響曲第1番、最高だ!
引き込まれる、引きずり込まれる音楽だった。
第4楽章に入ると、幼少時代の懐かしさも交差するのだった。
このLPレコード盤に収録された演奏は、クラシック音楽ファンならば誰もが知る「名演奏」と称される一つなのだそうだ。当時から更に後々知ることになる。
これを切っ掛けに、ブラームスにも暫くハマる。
サイトウ・キネン・オーケストラのブラームスも好む。が、ミュンシュ指揮、パリ管弦楽団のブラームス「交響曲第1番」を聴かなければ、ブラームスにハマることはなかった。
フランスの音への興味でブラームスにハマるなどとは、クラシック音楽ファンからしたら邪道のように思われるかも知れない。が、現在になってではあるが、「人生の偶然とは、こんなものかもよ・・・」ということで、「今日の一曲」は、ブラームスの交響曲第1番(ミュンシュ指揮・パリ管弦楽団)を紹介させていただいた。
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