今日の一曲 No.10:ハーブ・アルパート 「アランフェス」

「今日の一曲」の10回目は、ハーブ・アルパートの「アランフェス」。

 

大好きな音楽の最上位にあるはずのハーブ・アルパートの音楽を、これまで何故だろう?不思議なくらい「今日の一曲」では紹介する機会がなかったなぁ〜。

以前に、ブログ「ミュージック・ヒストリー(第1回~第8回)」の中では、「ライズ」というアルバムでハーブ・アルパートを紹介させていただいたことはあるのだが・・・読んでいただいたことは?・・・なくても構わない(涙・笑)。

 

ハーブ・アルパートはトランぺッター&音楽プロデューサーだ。「フュージョン系ジャズ」、「フュージョン・ポップ」と呼ばれるジャンルになるのだろか? 彼自身も年齢・時代と共にその音楽も変化・進化をし、決めつけるのもいかがなものかなとは思う。音楽のジャンル分けは「おおよそ、〇〇な感じの音楽」という便宜上だけのものだ。音の構成や時代背景などによってという分類も確かにあるが、明確に分類することは到底できない。

 ハーブ・アルパートの音楽を聴いたことがない方は、おおよそ、こんな感じでとイメージしていただきたい。聴いていただくのが一番だとは思うが強制はできない・・・よな(笑)。

 

さて、前置きが長過ぎた。失礼。

千葉県内、住所は船橋市だったが習志野市との境で、数歩で習志野市内という所に4畳半一間モルタル造りのアパートに部屋を借りていたときがある。一人暮らしをはじめたばかりの頃だ。

半年くらいしてからだったか、近所に住む少しだけ年上の音楽好きの方と知り合いになった。顔馴染みになり始めていた食堂のオバチャンが紹介してくれてだった。

知り合ったこの方から、「最近はハーブ・アルパートを聴いているんだ」という話を聞いたのが切っ掛けだ。その翌日には、そこはもう習志野市だったと思うが?レコード店へ行った。このとき手にしたのが、アルバム「ライズ」だ。LPレコード盤だ、念のため。

 

アルバム・タイトルにもなっている「ライズ」もお薦めな曲だが、ここでは、盤のB面最後に収録された「アランフェス」を紹介する。

 

クラシック・ギターやスペイン・ギター(フラメンコ)などにご興味のある方は御存じかと思うが、ロドリーゴ作曲「アラフェス協奏曲」というギター協奏曲がある。これが原曲だ。原曲は、少し悲し気であったり、儚さ気な雰囲気も漂わせながらもスペイン舞曲(フラメンコ)風のリズミックな力強さも要素に取り混ぜた音楽だ。

 

これを、ハーブ・アルパートがアレンジして演奏した。前面にエネルギッシュさが出ているアレンジだ。情熱的であるがそれだけではなく、何か抑えつけられたものから一気に弾け出そう、解放されよう・・・とするような力強さとしなやかさ、少しの楽観さを想わせてくれるアレンジになっている。

いつも断っていることだが、音楽評論家ではないので、あくまでも個人の感想だ。

 

生まれ育った土地から離れて、初めて一人暮らしをしながら新たな地に確りと足を着けて生活をしたり、社会と向き合っていけるのか、不安や期待を共に抱えながら暮らしていた頃だ。今になって想い出すと何て初々しい。こんな頃もあったのかと思う。書いていて恥ずかしい気持ちにもなってきた。そんな時代に出会った音楽の一つがハーブ・アルパートの音楽だった。

それで、想い出した!

4畳半一間の畳部屋では、レコード・プレーヤーにラジカセを繋いで聴いていた。決まって、LPレコードを最初に聴くときは同時にカセット・テープにダビングもしたのだった。普段はカセット・テープで聴いた。平成生まれの方には、もしかしたら想像などできない図柄か(汗)?

 

ハーブ・アルパートがアレンジ・演奏した「アランフェス」、解放されようとする力強さに楽観さが交じり溢れるこの音楽が、当時、慣れない地で、なんとも初々しく、大人らしい大人になるまでにはあまりに未熟であることを簡単に見透かされていたであろう青年の、その背中を幾度となく押してくれたに違いなかった。下腹の奥底から湧き出てくるような熱いものの存在を感じながら聴いた記憶がある。

今日の一曲、ハーブ・アルパートの「アランフェス」を紹介をさせていただいた。