「今日の一曲」の9回目。今回は、マーラー作曲、交響曲第2番「復活」を紹介させていただく。
この曲にまつわる思い出話というより、この曲が収録されたあるLPレコード盤について語ってみようと思う。
もうだいぶ前の話だが、マーラーの交響曲が日本でもブームになったときがあった。クラシック音楽でブームになるというのは大概が「作曲者の生誕〇年を記念して・・・」ということを言って、クラシック音楽界全体で盛り上げるのだ。このときもそうだったかも知れない。申し訳ない、あまりよく憶えていない。ただ、普段あまりクラシック音楽を聴かないような人たちまでが、マーラーの交響曲をBGM的に部屋に流して過ごすといったことが流行の話題になったのを記憶している。だから、ちょっとしたブームであったことは確かだ。
ちょうどこの頃、レコード店にCDが置かれるようになった。CDとLPレコード盤とが同居して店に並んでいた。でも、まだまだLPレコード盤の方が多い。
きっと、マーラー・ブームにまんまと乗せられたのであろう、マーラーの交響曲を求めてレコード店に入った。
そこで、見つけたのが紹介するこの盤だ(上の写真)。
「スーパー・アナログ・ディスク」と称されたレコード盤だ。「究極のアナログ・サウンド」が謳い文句だ。
手にすると通常のLPレコード盤よりも明らかに2倍以上は重たい。ずっしりくる感じ。少々大げさか?いや、そうでもないな。盤がしっかりと分厚い。
ジャケットの中に「スーパー・アナログ・ディスク」の説明も書いてあって、どうやら、通常のLPレコード盤よりも細かな周波数の変化も再現できるらしい。
この目新しいレコード盤のキャッチにも乗せられたのかも知れない。実際に聴いてみると、ダイナミック・レンジ(音量の大小の幅)の広さを先ずは感じる。静かに鳴っている音の滑らかさと音量が上がった箇所での迫力に威力を発揮しているように感じる。
が、マーラーの交響曲第2番とはそういう曲でもある・・・ん〜、なんともなぁ(笑)。
CDに対抗して、「アナログ・レコードもこれだけ聴かせられるぞ!」という当時のレコード盤製作関係者の必死な思いが今になって伝わってくる。すみません、気付くのが遅過ぎました~(汗)。
さて、この究極の「スーパー・アナログ・ディスク」に収録された演奏、演奏そのものもとても気に入っている。よかったでしょ(笑)?
ズービン・メータ指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団による演奏だ。1975年2月の録音と記されている。ジャケットに記されているのを確認すると、1986年に、この盤にして発売したということのようだが・・・。
で、お気に入りのこの演奏、私の勝手な感覚だが、演奏の最初から最後まで、また細部に渡るまで、最高のテンポ感だ。音楽評論家ではないので当てにしないように願いたい。あくまでも、個人の感想だ。・・・あれ?、何かのCMのようなフレーズになってしまったか。
とにかく、最高のテンポ感だ。というのは、このレコード盤を聴いていると、いつの間にか眠りに就いている。これが何よりの証拠だ(笑)。言い忘れたが、このレコードは2枚組で成り立っている。1枚目のA面、次にB面に盤を反してプレーヤーに置き鳴らすと、その後は大抵の場合、いつのまにか音が止っている。ウトウトと目を覚ます自分に気付く。やっと、2枚目の盤をジャケットから取り出す。2枚の盤を続けて通して聴くことは滅多にない。心地好いとは、こんな状況にもしてくれることがある。
マーラーの交響曲では、第5番や第8番も好みで聴く。が、この「スーパー・アナログ・ディスク」の存在のお蔭で、交響曲第2番「復活」をとても気に入って、これが切掛けで、これらも好きになったように思う。
当時、「マーラー・ブーム」と「スーパー・アナログ・ディスク」の両方に乗せられて手にしたのだが、好い(よい)音と演奏に出会えたと感じている。・・・というこで、「今日の一曲」は、マーラーの交響曲第2番「復活」を紹介させていただいた。
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