めずらしく連日のブログです。
「今日の一曲」の第3回になります。「今日の一曲」シリーズをはじめたばかりなので、念のために、再度、申し上げさせていただきますが、音楽の蘊蓄を語ろうというのではありません。音楽に詳しい人は他にもいらっしゃるのでね。ここでは、私めが所有する盤とそれにまつわる・・・もしかしたら少し妙な私め人生・・・これとを重ねた、恐縮ながら、エッセーとして書かせていただくものです。
今回、ご紹介する盤・・・、実は、昨日の正午過ぎ頃から曲創りをしていて、途中で作業を停止させられずに明け方4時頃まで続けてしまい、そんなこともあって、脳の使い処を切り替えたくて、それとリラックスのために、ラックから引き出してきた盤です。では、語らせていただきます(笑)。
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そう、曲作りモードに入り込んでしまい、途中で作業を停止させられずに今日の明け方4時頃までになってしまった。4時間ほど眠ったようだけれど、やっぱり脳が興奮状態から冷めきっていない感じだ。
脳の使い処を切り替えたくて、それとリラックスしたくて、この盤をラックから引き出してきた。
第1回と第2回と、いわゆるクラシック音楽とされるものをご紹介したけれど、特に熱心なクラシック音楽ファンという私めではないのだよ。・・・幼少期に多分に影響を受けたであろう音楽がそうであるとは思うけれど・・・。
今回ご紹介する盤は、ジャズ・ピアニストの「チック・コリア(Chick Corea)」のアルバム「マイ・スパニッシュ・ハート(MY SPANISH HEART)」、アナログ LPレコード盤、しかも2枚組だ(写真)。
チック・コリアの作品をしっかりと知ったときは、ジャズ・ピアニストとして世界にその名がとっくに広く知られていた。最初の出会いは(明確な記憶としての認識があるなかで)、ジャズと呼ばれているジャンルのものとしてではなく、彼がモーツアルトのピアノ作品を演奏するということで注目を浴びたクラシック音楽としてのリサイタルで、キース・ジャレットとの共演もあって、ジャズ・ファン、クラシック音楽ファンの双方から注目されたリサイタル(だったらしい)・・・それが数ヶ月後に録画でテレビで放映されてだった(1985年?)。
その当時は、チック・コリアもキース・ジャレットも「名前は聞いたことがあるなぁ~」という程度でしかなく、ほとんど何も知らずにテレビ画面の前に陣取っては、そこで視聴できる何かよくわからないものを「聴いてみたい!」という好奇心だけであった・・・社会人になって間もない頃だ。
だから、このときの演奏を視聴して、「チック・コリアと、もっと早くに出会っておけば良かったぁ~」と悔しい気持ちにさせられながら、同時に、チック・コリアが演奏するモーツァルトを聴いて、それ以来、チック・コリアに惚れ込んだというわけだ。
惚れ込んだ理由はというと、私めの語彙力の無さも否めない事実ではあるのだけれど、まさにどう表現したら良いか・・・、音の綺麗さだけではない、純粋雫が辺りに湧き飛び、舞い拡がるようなピュアな音粒子というか・・・。やはり何とも表現しきれない・・・(汗)。この表現の至らなさに、まぁ、だから「音楽なのだよ」と、お許し願いたい。
アルバムはこの視聴したリサイタルを遡ること、1976年10月、バーバンク、ケンダン・スタジオで録音されたものだ。
が、このアルバムを実際に手にしたのはその10年後くらいということになる。むしろ、よくもこの盤が手に入ったものだと、今更ながら不思議に思う。
ラテン系スペイン音楽色を当時のチック・コリアが表現したアルバムということだけど・・・、こうなると、ジャズだとか何だとかの音楽をジャンルで区別・色分けすることに無理があるとつくづく思う。チック・コリアについても、先ほどジャズ・ピアニストと書いてしまったが、アコースティック・ピアノだけではなく、ムーグやオルガン、・・・・さまざまを操る。
1970年代後半から80年代の丁度この時代は、電子・コンピュータ技術の発達とともにあらゆるサウンドが生み出されていて、チック・コリアも特にこの時代にはあらゆる可能性に挑んでいるように思う。
このアルバムは、70年代後半、こうした新しい音に果敢にチャレンジしようとするチック・コリアの精神と、脈々と継がれてきたラテン系音楽・スペイン風音楽のルーツがチック・コリアの体内にも流れていて、当時のチック・コリアが彼の感性によってこれらを融合し、それを情熱とテクニックとの全てで詰め込もうとした音楽たち、作品たちに感じる。
なかで、もっとも色濃く表れていると感じるのが、「スパニッシュ・ファンタジー(SPANISH FANTASY)」だ。
これが、パート1、パート2、パート3、パート4と並んで、2枚目のB面の全面、約20分間に渡って収録されている。
チック・コリアのアコースティック・ピアノに、ドラムス、フォーンセクション、アコースティック・ベース、ヴァイオリンが順に対峙しながら進行していく。後半には、更にムークなど電子音的なサウンドも入り込んで混ざり合って、最後はアコースティック・ピアノを中心に、再びこれらの楽器が起こすサウンドが総合して、情熱的で僅かに哀愁を覗かせるラテン音楽の魅惑とともに前面に表れ、クライマックスを再度迎える。
ある意味、大作ではないだろうか・・・。
今日のこの睡眠不足と興奮した脳みそを冷ましてもらうには、こんくらいエネルギーのある音楽で迎えてもらう方がイイ・・・だなんて言ってもみるが、お気に入りの曲だというだけかも知れない(笑)。
このアルバムに収録されたすべての楽曲から楽しい気分とリラックスとを同時にいただくのではあるけれど、明け方4時頃まで作業をしてしまった馬鹿者(私のこと)の朝にも、他のときも、チック・コリアがその時点で持ち合わせているすべてを注ぎ込んだ一曲として、「スパニッシュ・ファンタジー」の存在感を感ぜずにはいられない。
「今日の一曲」は、挑戦とエネルギーの熱い音楽の一つとして、チック・コリアのアルバム「マイ・スパニッシュ・ハート」より、「スパニッシュ・ファンタジー」をご紹介させていただいた。
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