今日の一曲 No.40:USA for AFRICA「WE ARE THE WORLD」

「今日の一曲」の第40回目。

40枚目に紹介する盤は、「そう言えば、こんなLPレコード盤も持っていたなぁ〜」と思い立って、取り出してきたのだけど・・・。

 

「USA for AFRICA」の「WE ARE THE WORLD」、1985年に出されたLPレコード盤だ(右上の写真)。

 

当時をあまりご存知ない方へ「USA for AFRICA」について、まずは紹介させていただこうかと・・・。

 

1984年、アフリカにおいて飢餓で苦しむ人々の救済を目的に、ボブ・ゲルドフの呼び掛けで、イギリスとアイルランドのロックやポップスのアーティストが集結して「Band Aid(バンド・エイド)」を起ち上げ、チャリティー・プロジェクトを成功させた。

これに影響を受けた形で、ハリー・ベラフォンがアメリカとカナダでも同様なプロジェクトを立ち上げた。曲は、マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーの共作、クインシー・ジョーンズがプロデューサーを担当して、アメリカとカナダの有名アーティストが集まって、1985年の1月にレコーディングが実現した。レコード制作・製造・販売にかかわる者が、すべての純益を「アフリカ救済基金(USA for AFRICA)」に寄付するというこのチャリティー・プロジェクトには、総勢45人のアーティストが参加した。

いろいろと一部から批判もあったりで様々エピソードもあるようだが、更なる詳細について知りたい方は、他のサイトでご確認いただけたらと・・・。

 

当時の私と言えば、以前より時折載せてきた話になるが(最近では第38回目にも)、社会人3年目で、アルバイト3件を掛け持ちの厳しい生活をしていた社会人2年目からは幸運にも救済されたところだった。もとはと言えば、社会人1年目の理不尽とも思える出来事(今回は詳しくは載せないが・・・)のせいでだったが、ある秀でた人格と能力を兼ね備えたリーダーの登場によって、問題の種が一掃された元の職場へと呼び戻され復帰が叶ったのだ。

 

が、一度打ち砕かれて失った自信や希望は、そうそう簡単には取り戻せずにいた。将来への展望が開けるような感覚までにはなかった。

 

そんな頃、アフリカでの飢餓救済のためにイギリスやアメリカのアーティストたちが起こしたチャリティー・プロジェクトは、日本でも大きく取り上げられて、話題性としても大いに拡がりのあるものだった。

まぁ〜、見方を変えると、日本もバブル期に入りつつあって実態のない経済的な裕福感を錯覚してのことであったのかも知れない。

 

おそらく、当時は、拡がる話題性にまんまと触発されてしまったのだろう。この頃はまだ財布の中身は少々厳しい状況であったはずなのだが、自宅近所の例の物静かそうなオジさんが一人で開いているレコード店へ行き、今日ご紹介のLPレコード盤を購入した。

まじまじとジャケットを時間かけて眺めては、唇を嚙み締めたような表情で?・・・自分を納得させながら財布からお金を取り出した。そのレコード代金をレコード店のオジさんに手渡した。このときの記憶が不思議なくらい鮮明に残っている。

 

「WE ARE THE WORLD」、上記にも少し記したが、色々とご批判の面も確かにあったかと思うのだが、実際、初めてこの盤に針を置いて聴いたときには、45人のアーティストが、たった一つの楽曲を、代わる代わるにその歌声を聴かせて繰り出してくる迫力、二人、三人、そして、合唱へと、アーティストどうしが共に響かせ合う威力は、それまでに他のものでは体感したことのない感動を、この盤の音から感じた。

 

ただし、当時は、あくまでも興奮することなく静寂な想いで聴いたことを憶えている。

このLPレコード盤を手にしながら、「少しは何かの役に立ったのかなぁ〜」と考えていたからだ。

 

この後の社会人4年目、5年目と、秀でた人格と能力を兼ね備えたリーダーのもとで、鍛えられ、我が人生も逆転攻勢に一気に転じることにはなるのだが・・・このときには、まだまだ、ただ、ただ、生きるのに必死だった。

 

でも、「生きる」とは、「先ずはこういう事だ」と日々実感して生活していたときであったようにも思う。現在から振り返ると、このピンチな生活も無駄ではなかったように思えてくるし、まだまだ恵まれていたと、そう思えてくる。少し美談にまとめ過ぎか?(笑)。

 

さてさて、現在、アフリカは、イギリスは、アメリカは、世界は、日本は・・・?、ん?・・・・何やら世界中が危なっかしくないか?

 

6月23日(金)のライヴでも、「慰霊の日」、「沖縄戦」についてもふれさせていただいたところではあるが・・・、「一つひとつの命を、人一人ひとりの命を大切にすること」は、人類の根源的な思考・思想であるべきではないだろうか。・・・と、わざわざここに書き記そうかと思ってしまうような時代になっているのだとすれば、危ういなぁ〜(悲)。

 

「USA for AFRICA」で「WE ARE THE WORLD」を、「今日の一曲」として紹介させていただいた。

・・・ん〜・・・当時、それでも、この曲で少しくらいは光も感じられて、自身も救われていたのかも?・・・。