今日の一曲 No.49:シューベルト作曲「弦楽五重奏曲ハ長調作品163(ブダペスト弦楽四重奏団&ハイフェッツ(チェロ))より」

「今日の一曲」の第49回目。

今回はクラシック音楽、中でも、ほんの少しマニアック寄りな曲になるかな?・・・そんな一曲(レコード盤)をご紹介させていただきながら、いつものようにあれこれと(笑)。

 

で、その一曲とは・・・、

シューベルト作曲「弦楽五重奏曲ハ長調作品163」。ブダペスト弦楽四重奏団にチェロ奏者ハイフェッツが加わっての演奏を、1962年1月にニューヨークで録音されたLPレコード盤とともにご紹介させていただく(上の写真)。

 

ジャケットが油絵の抽象画が描かれていて、どう、惹かれませんか・・・(笑)?

 

「今日の一曲」の第20回目(2017/02/06)で、ハイドン作曲の弦楽四重奏曲「ひばり」をご紹介しながら、11年間務めた職場を退職する数日前に職場の先輩から貴重なLPレコード盤をいただいた話も併せて載せた。この貴重なLPレコード盤で「ブダペスト弦楽四重奏団」を知った。

 

以来、「ブダペスト弦楽四重奏団」に興味をもち始めて、他の曲のレコード盤やCDを探したのであったが、当時は直ぐに手に入れることができなかった。

新しい職場に移って3年くらいしてからだったと思う。あっという間にCDの時代を迎えて、LPもSPも、アナログ・レコード盤は一般のレコード店からその姿を完全に消していたのだった。この頃から、吉祥寺、三鷹、下北沢などで中古レコード店を探し見つけては、仕事帰りや休日に足を運ぶようになった。

で、何処の中古レコード店だったかは憶えていないのだが、今日ご紹介の盤を偶然にも見つけたのだった。

「やったぁ~!」

胸の内で大いに叫んだ!

声には出していなかったはずだが・・・たぶん(汗・笑)・・・。

 

1962年当時の録音が感じられる音が収められていた。

弦と弓とが触れて起ちあがる音とそれらが弦楽器のボディに共鳴する響き、ただそれだけが録られていた。

ホール録音ではなく、録音スタジオでマイクや様々な器材を目の前に奏者たちは録音したことが容易に想像できる。

少々レトロな気分を味わいながら聴くことができる盤だ。

 

あまり詳しいわけではないのだけれど・・・、

このシューベルトの弦楽五重奏曲というのは、弦楽アンサンブル曲としては滅多にない編成のようだ。

バイオリン奏者2人とビオラとチェロ奏者の通常の四重奏の編成にもう一人チェロ奏者が加わっての五重奏曲。チェロが2本になる編成は珍しく、シューベルトならではのサウンド感覚でもあったようだ。

ハイドンやベートーヴェンなどの偉大な先輩作曲家とともに生きた若きシューベルトの挑戦だったのかも知れない・・・などと勝手な想像しながら聴いたりもする。

 

小学校や中学校の音楽の授業で、シューベルトのことを「歌曲の王」などと称して覚えさせられたが、なんだかなぁ~・・・と少し尖ってみたくなる。こうして、弦楽アンサンブルや交響曲の作品だってあるのに・・・。って、ムキになることもないかぁ~(笑)。

 

当時、新しい職場では、その前までの経験も評価されたらしく直ぐに重責を担う立場に。毎日がチャレンジでやりがいも感じていた。が、当たり前なのだが、すべてが想い描いたように事が運ぶわけではない。立ち向かえば、逆風に押し戻されそうなときもある。

 

しずかに瞼(まぶた)を閉じる。

時折り、このレトロな音ともに聴こえてくるシンプルな弦楽アンサンブルの響きに、シューベルトがもしかしたらチャレンジに挑みながら書いた作品なのかも知れないと想像を膨らませて、これらを重ねて聴くと、当時の私の背中を押してくれるようにも聴こえるのだった。

繊細な曲の構成にも、チェロ2本分の力強さがここにあったのかな。