今日の一曲⑬:武満徹「ノヴェンバー・ステップス ~尺八、琵琶とオーケストラのための~」

「今日の一曲」の13回目、武満徹の音楽から「ノヴェンバー・ステップス~尺八、琵琶とオーケストラのための~」だ。

 

ところで、いつものことだが本題に入る前に・・・、

丁寧にブログをお読みいただいている方がいらっしゃる。ありがたい、恐縮の限りだ。

前回の「今日の一曲⑫」で、坂本龍一の「音楽図鑑よりSELF PORTRAIT」を紹介しながら、当時、職場の派閥争いに関わらないでいたら干されてしまったことを書いた。これに、「その後はどうされたのですか?」という心配をされて、「メール・ボックス」にメッセージをくれた方がいらした。

「今日の一曲」は、時系列で順に並べての紹介はしていないのだが、折角なので、今回に限っては12回目の続編として書かせていただく。

 

社会人として最初の職場はそんなことで次の年には3つほどアルバイトを掛け持ちしながらの生活になった。私に同情してくれたのであろう数人の同僚が同種に近いアルバイト先を紹介してくれてだった。同種と言っても当然のことながら職場が違えば方針やら仕事の進め方も人間関係のやり取りも違う。アルバイト先によって自身のスタンスを臨機応変に切り替えるのに苦労した憶えがある。あとは、ただ必死で生活することしか考えられなかったように思う。

 

ところが、これは時折感じるのだが、強運な面がある。

 

社会人3年目に入る前に連絡が入った。最初の職場の現場トップが交代。何やら派閥争いに終止符を打って改革するような「キレモノ」がやって来るらしい・・・となった。元同僚らが力になってくれたこともあってだと思うが再採用。どう、強運でしょ。

 

でも、これで済むような強運ではない。

「キレモノ」なる人物は単なる「キレモノ」ではなかった。人生において尊敬すべき大きな器をもった人と出会うことになったのだ。「行動力」、「決断力」、「思考・創造力」、「包容力」、そして、「ユーモア」、これら全て真に長けた人物だ。

この人から、社会人として、業界人として、更に言えば、大人として、その姿勢を一から叩き込まれることになる。何度叱られたか・・・。が、メキメキと力が着いてくるのが自覚できるほどだった。20歳代後半で主要な役にも就き、職責を担うまでになった。

 

お待たせした。いよいよ武満徹の音楽だ。

「飛ぶ鳥を落とす勢い」と周囲からも言われるような中で、タイミング良く諫めてくれる一声さえも掛けていただいた。お蔭で、物事を冷静に眺めながら事を進めることもできた。

それで、当時、心鎮めて聴いたのが、武満徹「ノヴェンバー・ステップス~尺八、琵琶とオーケストラのための~」だった。

 

日本を代表する現代音楽作曲家とも称させる武満徹の音楽、当時、それまでも耳にする機会はあった。「独特の音の重なりが心地よいなぁ~」とは感じてはいたものの、熱心に聴くまでではなかった。

指揮者の小澤征爾の師で斎藤秀雄氏の功績を知って、「サイトウ・キネン・オーケストラ」に興味をもったのが切っ掛けになった。併せて、邦楽器の尺八と琵琶、西洋楽器群のオーケストラ、両者が融合した音楽として再び武満徹の音楽が世界的に注目されるようになっていた背景もあって、それで紹介のCDを手にした(上の写真)。

 

そう、もうその頃は完全にCDの時代になっていた・・・。これに関しては敢えて残念そうに書いている(笑)。お分かりか・・・。

 

指揮が小澤征爾、「サイトウ・キネン・オーケストラ」、尺八が横山勝也、琵琶が鶴田錦史・・・とある。

同CDには、やはり邦楽器の笙を用いた楽曲「セレモニアル~オーケストラと笙のための~」も収録されている。

 

邦楽器が入ることで、独特の呼吸感と間が生じる。これを巧みに表現に入れ込み、西洋楽器の響きと融合させた音楽に感じる。

この呼吸感と間が心を鎮めさせてくれるのだろうか。鎮まる感覚が好くて、当時は、頻繁に聴いていた。もしかすると、そろそろ少し忙し過ぎるようにもなっていたのかも知れない。

 

人生で尊敬すべき人物との出会いがあって、未熟者が社会人としても大人としてもその姿勢を育てていただいた。エネルギッシュに充実感をも得ながら日々を過ごす中で、少し冷静さを取り戻す時間を作ってくれた音楽、現代音楽、武満徹の「ノヴェンバー・ステップス~尺八、琵琶とオーケストラのための~」を、「今日の一曲」として紹介させていただいた。

人との出会いは大きい。人との繋がりは大切だ。いつ何時、何処で、何が幸いするか・・・。