今日の一曲⑧:矢野顕子「いつか王子様が」

「今日の一曲」の8回目。これまでがクラシック音楽かジャズ系の音楽のどちらかだけになっていたので、今回こそは違うジャンル(?)をと、少し意識的に選んだ。テクノポップ系から紹介する。

今日紹介する一曲は、矢野顕子のアルバム「ただいま。」の中に収録されている。アルバム全体も色々と紹介したいくらい面白みに満ちた全17曲が収録されたアルバムだ。小学生たちが書いた詩に矢野顕子が曲をつけて歌ったものも9曲収録されていたり、シングル曲にもなって化粧品のCMで多くの人に知られた「春咲小紅」も収録されている。

 

と、いうようなことは、当時レコード店で購入してきたこの盤をレコード・プレーヤーに置き聴いてみて初めて知ったことだった。えっ?もちろんCDじゃないよ。LPレコードだ。「テクノ」だけど「アナログ・レコード盤」で聴くというよき時代にリリースされたのだ(笑)。

 実は、矢野顕子もその音楽も当時はあまり存じ上げず、坂本龍一らの「YMO」のライヴ・ツアーなどにサポート・メンバーで加わっている人?くらいの認識しかなかった。ゴメンなさい(誰に謝っている?)。ジャケット(上の写真)が、あまりに素敵過ぎたので買ったというのが購入理由の80%を占めていたと思う。ただし、この数字はまともに信用しないように願う。でも、まあ、「ジャケ買い」というやつだ。

 

余談になるが、LPレコード全盛の時代は、「ジャケ買い」も楽しみ方の一つにあった。CDのサイズでは「ジャケ買い」はしずらいものなぁ。

 

当時、テクノポップは発展途上の音楽だ。急速にコンピュータ技術が進んで、シンセサイザーなどの電子楽器類もその性能が日々進化を遂げていくほどの勢いだった。あらゆるジャンルのミュージシャン、アーティストたちが様々なサウンドにチャレンジする活気に満ちた音楽界であった。欧米などもそうであったようだが、日本の社会もチャレンジあふれた活気ある時代であったように記憶する。

 

矢野顕子もこうしたチャレンジを重ねたであろう時代のアルバムの一つ「ただいま。」だ。これだけ面白い楽曲たちが集められた中で、このアルバムのA面の2曲目にあるのが「いつか王子様が」だ。

もちろん、シンセサイザーなどの電子楽器のサウンドを色々と試しチャレンジしていることが伺えるアレンジだ。当時のテクノポップはやや単調に聴こえがちな側面があったように思う。が、この矢野顕子の、特に、「いつか王子様が」は、矢野顕子のヴォーカルが様々に表情を見せて、魅せてくれる。優しかったり、力強かったり、明るかったり、寂し気だったり、この一曲の中に詰まっていて、テクノポップのサウンドが、矢野顕子という存在と共に、自由さを次に次に拡げてくれるのでは・・・という可能性を感じさせてくれる。楽しさ、面白みは、このアルバムに収録された他のどの曲も持ち合わせているが、自由な表情や表現の豊かさは、この「いつか王子様が」から一番に感じる。当時も現在も聴いていて、その可能性やその可能性を想い出して、嬉しい思いが沸き上がってくる。

 

そう、「今日の一曲」で、歌詞つきの楽曲を紹介したのは初めてになる。それだけ、矢野顕子のヴォーカルの表現の豊かさや自由さが、当時も現在も何かを届けてくれている印象なのだろう。

 

さっきから、「当時」って、「いつの話だよ〜」と思って読んでくださったあなた!ありがとうございます!確りと読んでくださって・・・。アルバム「ただいま。」は、1981年のリリースらしい。愛間純人は何歳なんだなんて想像するなよ。頼むお願いだ(笑)。

 

テクノポップ・サウンドへのチャレンジを感じると共に、豊かな表現で自由さをも忘れずに届けてくれた楽曲、矢野顕子の「いつか王子様が」を、「今日の一曲」として紹介させていただいた。